「かわいい彼女できたのに冴えねえツラしてるし」
「いつもデレてたらキモいだろ」
「自分の書いた脚本が舞台になるのに冴えねえツラしてるし」
「あんまりイキるとウザいだろ」
 さっきから冴えねえ冴えねえって、ちょっと浮かない表情見せただけだし演劇部の誰もそんなこと指摘してこないのに、楓だけ一瞬で気づいててさ。
 お前は僕のお母さんかよ。
「てゆーか、楓もゆずきのことかわいいって思ってるんだ」
 こちらからもジャブで応戦。
「思っちゃ悪いか」
「へえー」
 僕は楓にわざとニヤついて見せる。
「なんだその下卑た顔」
 ヤツの毒吐きを正面から受け止めずにかわし、
「どこが好きなんだよ」
と畳みかけた。
「沈んでると思ったら、いきなりカノジョ自慢か。キモッ。マジキモ」
 楓が吐き捨てるように言った。こいつは女子の話を滅多にしないから、 ちょっと触れてやると面白い。
「アホらし。もう行くわ」
 楓が腰を上げた。