こうしてゆずきは、僕の書いた脚本の舞台で、ヒロインを演じることになった。
 発声や基本動作から始め、毎日精いっぱい練習に励む彼女を、僕は心配していない。
 演技経験なんてなくても、ゆずきは絶対にうまく演じ切るはずだ。
 だって……、


 いざとなったら小説に書けばいい。


 ゆずきは本番の舞台で最高の演技をする――って。
 そうすれば、その通りになるんだから。