的と平行に敷いたレールの上に、マシンを置く。

上下する的に向かって標準を絞ると、俺はスイッチを押し弾を発射させた。

勢いよく飛び出したそれは、さっと的の上をかすめて、はじけ飛ぶ。

発射から的に届くまでの飛行時間と、的の出現期間3秒の時間のずれだ。

タイミングが合わない。

発射のタイミングをコンピューター任せにして、プログラム上の微調整を続けているが、なぜかそれが上手くいかない。

制止した的にはちゃんと当たるのに、動き出したとたんにコレだ。

一体、何が違うというんだろう。

自動発射で初めの頃は上手く行くのに、時間が経つにつれてずれが出始める。

試合時間の、120秒が持たない。

気がつけば、この調整だけで2時間以上を費やしている。

発射のタイミングを、0.1秒早くすれば当たらないし、0.1秒遅くすれば、間に合わなかった。

そんなこんなで試行錯誤をくり返すうちに、俺は一つの結論にたどりつく。

的の出現時間との不一致が原因だ。

自作のカム溝によって、出現する的の時間を正確に測定してみた。

やっぱりだ。

公式ルールで3秒出現、1秒待機の時間が、3.00秒ではないし、1.00秒でもない。

3.24秒と1.45秒だ。

このほんのわずかな誤差が、徐々にズレを生じさせ、やがて全弾を外す原因となっている。

制止させた一つの的に当てるだけで、この結果だ。

実戦では、ランダムに飛び出す的と、そこまでのマシンの移動時間も計算に入れなければならない。

その複雑さと繊細さに、ため息が出る。

俺はにらみ続けていたパソコン画面の前から立ち上がった。

どうしようか。

先ずはやっぱり、的をきちんと作り直さないとな。

何度も何度も、進んでは立ち止まり、戻っては進むをくり返す。

完成と思ったら最初からやり直しで、戻されたと思っていたら、その壁を乗り越えて、先に進んでいたことに気づいたりもする。

ここで今、ぐずぐずと立ち止まっている俺は、それでもどこかに向かって、進んでいるのだろうか。

それは成功と完成と勝利なんだろうか。

ふいに飛び出したピンポン玉が、何もない虚空に放物線を描いた。

なんだコレ、熱暴走? 

マシンにだって、休憩は必要だよな。