お気持ち程度の閑散とした拍手が辺りを包んだ。

得点の書かれた黒板を見る。

そこには「8点」と書かれてあった。

30点満点中の8点、的中率26.7%。

予想より、遥かに低い。

まだ不安定な動作を続けるマシンを抱えたまま、俺は張り付けた養生テープを引きはがした。

マシンはまだ、腕の中で震えている。

俺は極めて冷静さを装い、残りのテープを剥がした。

その間に、ようやく動揺の収まったマシンを段ボールに収納して、主役に場を譲る。

やっぱり、先行を選んだ俺は、正解だった。

この会場は、後の鹿島たちが、しっかり盛り上げてくれるだろう。

その役割を果たすのは、俺じゃない。

こんな結末になるだろうなって、分かっていた俺は、やっぱり偉い。

片付けが終わったのを見計らった山崎から、鹿島にセッティング準備の案内が入った。

会場の空気が、一変したような気がする。

そうだよ、そうだよな。

ふと奥川と目が合った俺は、そのまま人混みの中に姿を消した。

山崎の合図で、鹿島たちのセットが始まった。

1年生の3人が、手際よく準備を始める。

どこから持ってきたのか、レーザー式の距離測定器を取り出して、ゼロ位置を探っていた。

まぁ、そうだろうな。

彼らの仕組みでは、最初の位置が全てを決するといっても過言ではない。

5分が経った。

「スタート!」

山崎の合図で、マシンが動き出す。

実戦で動かしてみて、分かったことがある。

公式ルールの、3秒出現、1秒待機という時間は、案外厳しい。

それだけの時間でプログラムを動かすのには、余裕がない。

コンピューター上のプログラムでは、問題なく動くはずの設定なのに、リアルな世界で実際に動かしてみると、どうしてこうも上手くいかないんだろう。

問題なんて、計算上何も起こるはずないのに、どうしてこうも、上手くいかないのか。

そのことが俺には、不思議で仕方がない。