「で、どうなったの?」
「最後のイタズラは、行われなかったみたいです。けど、代わりにイタズラの犯人がふたり揃って謝りに来てくれたそうですよ。事情を聞いたら、先輩の推理そのままの真相だったらしいです」
叔父さんの話を思い出しながら、事の顛末を奈津美先輩に伝えていく。
きちんと謝りに来た子供たちに対して、陽菜乃さんは僕らとの約束を守ってくれたそうだ。厳しく叱ることはなく、子供たちに「謝ってくれてありがとう」と優しく語りかけていた、と叔父さんは言っていた。
「そう……。良かった」
奈津美先輩がうれしそうに、そしてどこか安心したように笑う。
その笑顔を見ていると心が妙にくすぐったくなって、僕はちょっとからかうように声を掛けた。
「うれしそうですね、先輩。推理が当たっていて、得意満面って感じですか?」
「ん? ん~、そうね。推理が当たっていたことは正直どうでもいいけど、子供たちが仲直りできたことは、素直にうれしいわ。それに……」
「それに?」
僕が首を傾げると、奈津美先輩は木漏れ日のように温かく微笑んだ。
「私の当てずっぽうな推理を信じてくれた悠里君を、悲しませずに済んで良かったな~って」
若干恥ずかし気に頬を掻きながら、奈津美先輩が心の内を明かしてくれる。
瞬間、僕の胸が大きく高鳴った。顔がどんどん熱く火照っていくのを感じる。必死に胸を押さえつけても、鼓動が治まらない。
なんだ? 一体どうしたんだ?
思わぬ体の反応に、戸惑いを覚える。その間にも体の熱は高まっていき、鼓動はどこまでも大きくなっていく。胸が締め付けられているみたいなのに、どこかくすぐったく温かい。これまでに感じたことがない妙な感覚に、僕は困惑した。
と、その時だ。
奈津美先輩のカバンから軽快な音楽が鳴り響いた。
「悠里君、ごめんね。ちょっと外に出てくるわ」
「あ、はい。いってらっしゃい」
僕の動揺など露知らず、奈津美先輩はスマホを片手に書架の森に消えていく。
その後ろ姿を、僕は呆然と見送ることしかできなかった。
「最後のイタズラは、行われなかったみたいです。けど、代わりにイタズラの犯人がふたり揃って謝りに来てくれたそうですよ。事情を聞いたら、先輩の推理そのままの真相だったらしいです」
叔父さんの話を思い出しながら、事の顛末を奈津美先輩に伝えていく。
きちんと謝りに来た子供たちに対して、陽菜乃さんは僕らとの約束を守ってくれたそうだ。厳しく叱ることはなく、子供たちに「謝ってくれてありがとう」と優しく語りかけていた、と叔父さんは言っていた。
「そう……。良かった」
奈津美先輩がうれしそうに、そしてどこか安心したように笑う。
その笑顔を見ていると心が妙にくすぐったくなって、僕はちょっとからかうように声を掛けた。
「うれしそうですね、先輩。推理が当たっていて、得意満面って感じですか?」
「ん? ん~、そうね。推理が当たっていたことは正直どうでもいいけど、子供たちが仲直りできたことは、素直にうれしいわ。それに……」
「それに?」
僕が首を傾げると、奈津美先輩は木漏れ日のように温かく微笑んだ。
「私の当てずっぽうな推理を信じてくれた悠里君を、悲しませずに済んで良かったな~って」
若干恥ずかし気に頬を掻きながら、奈津美先輩が心の内を明かしてくれる。
瞬間、僕の胸が大きく高鳴った。顔がどんどん熱く火照っていくのを感じる。必死に胸を押さえつけても、鼓動が治まらない。
なんだ? 一体どうしたんだ?
思わぬ体の反応に、戸惑いを覚える。その間にも体の熱は高まっていき、鼓動はどこまでも大きくなっていく。胸が締め付けられているみたいなのに、どこかくすぐったく温かい。これまでに感じたことがない妙な感覚に、僕は困惑した。
と、その時だ。
奈津美先輩のカバンから軽快な音楽が鳴り響いた。
「悠里君、ごめんね。ちょっと外に出てくるわ」
「あ、はい。いってらっしゃい」
僕の動揺など露知らず、奈津美先輩はスマホを片手に書架の森に消えていく。
その後ろ姿を、僕は呆然と見送ることしかできなかった。