「他にもまだまだありますよ。例えば……」
「もういい! 十分です! フンだ! 悠里君のイジワル。根性曲がり。いじめっ子!」
ソファーで膝を抱え、奈津美先輩は半泣きになってしまった。「うぅ……」と唸りながら、涙を溜めた恨みがましい目で、こちらを睨んでくる。
いや、いじめっ子って……。これ、奈津美先輩が言わせたことでしょうが。何で僕が悪役になっているんだか。
「ともかく、今年の文集を手製本で作ることは決定事項よ! イジワル悠里君が何言ったって、変更しないんだから」
奈津美先輩は、小さな舌をのぞかせて、あっかんべーをしてきた。
僕、あっかんベーをリアルにやる高校生なんて、初めて見た。今時、小学生だってやらないぞ、そんな仕草。どれだけ子供なんだ。
これ、確実にいつまでも根に持つパターンだよなぁ。きっとことあるごとに、「悠里君はイジワルだから~」とか言ってくるに違いない。
仕方ない。まあ、十分にお灸を据えることもできたし、ここら辺で話を本筋に引き戻して……。
「そんなすねないでください、先輩。さっきも言いましたけど、僕は別に手製本をやることに反対はしていませんよ」
ふてくされて三角座りを始めた奈津美先輩へ、苦笑交じりに声をかける。
すると、奈津美先輩は警戒する野生動物のように、膝の向こうから僕の顔を窺ってきた。
「……本当に?」
「本当です」
「嘘偽りなく?」
「誓ってもいいですよ」
ここで嘘をつく必要はない。手負いの野生動物を保護するような心境で、優しく肯定の言葉を重ねていく。
僕が答える度に、奈津美先輩の機嫌が直っていくのがわかる。犬が尻尾を振っているような感じだ。良くも悪くも一直線な人だから、自分のアイデアを支持されると、素直に喜んでしまうのだ。
こちらとしては、扱いやすくて大変助かる。あと、こういう奈津美先輩のポジティブに物事を捉えられるところは、少しうらやましいと思う。人生楽しそうだし。
「もういい! 十分です! フンだ! 悠里君のイジワル。根性曲がり。いじめっ子!」
ソファーで膝を抱え、奈津美先輩は半泣きになってしまった。「うぅ……」と唸りながら、涙を溜めた恨みがましい目で、こちらを睨んでくる。
いや、いじめっ子って……。これ、奈津美先輩が言わせたことでしょうが。何で僕が悪役になっているんだか。
「ともかく、今年の文集を手製本で作ることは決定事項よ! イジワル悠里君が何言ったって、変更しないんだから」
奈津美先輩は、小さな舌をのぞかせて、あっかんべーをしてきた。
僕、あっかんベーをリアルにやる高校生なんて、初めて見た。今時、小学生だってやらないぞ、そんな仕草。どれだけ子供なんだ。
これ、確実にいつまでも根に持つパターンだよなぁ。きっとことあるごとに、「悠里君はイジワルだから~」とか言ってくるに違いない。
仕方ない。まあ、十分にお灸を据えることもできたし、ここら辺で話を本筋に引き戻して……。
「そんなすねないでください、先輩。さっきも言いましたけど、僕は別に手製本をやることに反対はしていませんよ」
ふてくされて三角座りを始めた奈津美先輩へ、苦笑交じりに声をかける。
すると、奈津美先輩は警戒する野生動物のように、膝の向こうから僕の顔を窺ってきた。
「……本当に?」
「本当です」
「嘘偽りなく?」
「誓ってもいいですよ」
ここで嘘をつく必要はない。手負いの野生動物を保護するような心境で、優しく肯定の言葉を重ねていく。
僕が答える度に、奈津美先輩の機嫌が直っていくのがわかる。犬が尻尾を振っているような感じだ。良くも悪くも一直線な人だから、自分のアイデアを支持されると、素直に喜んでしまうのだ。
こちらとしては、扱いやすくて大変助かる。あと、こういう奈津美先輩のポジティブに物事を捉えられるところは、少しうらやましいと思う。人生楽しそうだし。