* * *
「よし! あった!」
技術室の机には、これ見よがしにかがり台が置かれていた。見覚えがある、奈津美先輩のかがり台だ。おそらく先輩が、この勝負のために置いておいたのだろう。
かがり台の前まで行き、走って上がった息を整える。焦る必要はないのだ。二問目が解けて興奮気味の頭へ酸素を送り込むように、数分かけてゆっくりと深呼吸を繰り返す。
そして、満を持してかがり台をひっくり返してみると、底に次のメモ用紙が貼り付けてあった。メモ用紙を剥がして、小さくガッツポーズをする。
ふたつ目のヒントを見た時はどうなることかと思ったけど、今日の僕は本当に運がいい。勝負開始から一時間足らずで、ここまで辿り着けた。これはきっと、奈津美先輩にとっても予想外に違いない。奈津美先輩としては、かがり台の問題で結構な時間が稼げると踏んでいただろうし。
残るヒントは、今見つけたものを含めてふたつ。残り時間は、大体四時間。これなら、余程変な問題でも来ない限り楽勝だ。
「何だか事がうまく運び過ぎて、怖いくらいだな」
すべてが順調に行き過ぎて、思わず独り言が漏れてしまう。ここまでうまくいき過ぎると、逆にどこかで落とし穴にでも嵌まるんじゃないかと思えてくる。
ただ、これは一応真剣勝負だ。この先に何が待っているかはわからないけど、今の僕は前に進むしかない。もしも落とし穴に嵌まったら、どうするかはその時に考えればいいのだ。
差し当たって、僕は見つけ出した次のメモ用紙に目を落とした。次の目的地へのヒントは、ここにあるのだ。
メモ用紙には、次のような一文が書かれていた。
【子供たちの秘密の会話】
どうやら今度の問題は、さほど苦労せずに解けそうだ。二問目と違い、これはすぐにピンと来た。
子供たちの秘密の会話と言えば、ひとつしかない。市立図書館で取材をした時のイタズラだ。
「だったら、次は図書室かな」
念のため、かがり台を分解して片付け、余裕をもって技術室を後にする。
市立図書館と似た条件が揃っているのは、この学校内ならば図書室か資料室しかない。先輩が勝負の準備に出かけた際、資料室には僕がいたから、何か仕掛けてあるとすれば図書室の方だろう。
「よし! あった!」
技術室の机には、これ見よがしにかがり台が置かれていた。見覚えがある、奈津美先輩のかがり台だ。おそらく先輩が、この勝負のために置いておいたのだろう。
かがり台の前まで行き、走って上がった息を整える。焦る必要はないのだ。二問目が解けて興奮気味の頭へ酸素を送り込むように、数分かけてゆっくりと深呼吸を繰り返す。
そして、満を持してかがり台をひっくり返してみると、底に次のメモ用紙が貼り付けてあった。メモ用紙を剥がして、小さくガッツポーズをする。
ふたつ目のヒントを見た時はどうなることかと思ったけど、今日の僕は本当に運がいい。勝負開始から一時間足らずで、ここまで辿り着けた。これはきっと、奈津美先輩にとっても予想外に違いない。奈津美先輩としては、かがり台の問題で結構な時間が稼げると踏んでいただろうし。
残るヒントは、今見つけたものを含めてふたつ。残り時間は、大体四時間。これなら、余程変な問題でも来ない限り楽勝だ。
「何だか事がうまく運び過ぎて、怖いくらいだな」
すべてが順調に行き過ぎて、思わず独り言が漏れてしまう。ここまでうまくいき過ぎると、逆にどこかで落とし穴にでも嵌まるんじゃないかと思えてくる。
ただ、これは一応真剣勝負だ。この先に何が待っているかはわからないけど、今の僕は前に進むしかない。もしも落とし穴に嵌まったら、どうするかはその時に考えればいいのだ。
差し当たって、僕は見つけ出した次のメモ用紙に目を落とした。次の目的地へのヒントは、ここにあるのだ。
メモ用紙には、次のような一文が書かれていた。
【子供たちの秘密の会話】
どうやら今度の問題は、さほど苦労せずに解けそうだ。二問目と違い、これはすぐにピンと来た。
子供たちの秘密の会話と言えば、ひとつしかない。市立図書館で取材をした時のイタズラだ。
「だったら、次は図書室かな」
念のため、かがり台を分解して片付け、余裕をもって技術室を後にする。
市立図書館と似た条件が揃っているのは、この学校内ならば図書室か資料室しかない。先輩が勝負の準備に出かけた際、資料室には僕がいたから、何か仕掛けてあるとすれば図書室の方だろう。