* * *
ふたつ目のヒントを見つけてから、数十分。僕は初めて会った時の奈津美先輩よろしく校門の支柱に寄りかかり、メモ用紙とにらめっこを続けていた。
奈津美先輩から出された次なるヒントは、次のような内容だった。
【ベニヤ合板1枚、角棒5本、棒ネジ2本、ナット4個、蝶ナット2個、ナットに対応するワッシャー適量】
何度眺めてみても、書かれているのはこれだけだ。おそらく何かの材料だと思うのだけど、いくら考えてもまったく見当がつかない。
「なんの日曜大工だよ、これ」
思わず愚痴が出てしまう。
奈津美先輩、すみませんでした。ルールを聞いた時、あなたを侮って「これは勝ったな」と思ったことを反省します。あなたは割とこの手の勝負に向いているかもしれません。
「とはいえ、このまま終わるのもおもしろくないか……」
ルール上、ネットなんかで調べるのもありのはずだ。あとは図書室の本で探すのも。奈津美先輩も、禁止とは言っていなかったし。
この材料だけでどこまで探せるかわからないけど、奈津美先輩のことだ。きっと製本に使う道具か何かだろうし、答えを見つけられるかもしれない。司書志望者の腕の見せ所だ。
気合を入れて、僕はズボンのポケットからスマホを取り出した。
と、その時だ。
「あれ? 悠里君じゃん。そんなところで何してんの?」
不意に声を掛けられ、僕は視線をスマホから声のした方へ移した。
そこには、僕に向かって手を振るふたりの女性が立っていた。
「真菜さんに陽菜乃さん。どうも、ご無沙汰しています」
「やっほー。一カ月ぶりくらいかな」
「お久しぶりです。元気そうね、一ノ瀬君」
そう。僕に手を振っていたのは、夏休みにお世話になった書籍部OGの真菜さんと陽菜乃さんだったのだ。
どうやらこの人たちも、文化祭を観に来たらしい。まさかこんなところで会えるなんて、びっくりだ。
ふたつ目のヒントを見つけてから、数十分。僕は初めて会った時の奈津美先輩よろしく校門の支柱に寄りかかり、メモ用紙とにらめっこを続けていた。
奈津美先輩から出された次なるヒントは、次のような内容だった。
【ベニヤ合板1枚、角棒5本、棒ネジ2本、ナット4個、蝶ナット2個、ナットに対応するワッシャー適量】
何度眺めてみても、書かれているのはこれだけだ。おそらく何かの材料だと思うのだけど、いくら考えてもまったく見当がつかない。
「なんの日曜大工だよ、これ」
思わず愚痴が出てしまう。
奈津美先輩、すみませんでした。ルールを聞いた時、あなたを侮って「これは勝ったな」と思ったことを反省します。あなたは割とこの手の勝負に向いているかもしれません。
「とはいえ、このまま終わるのもおもしろくないか……」
ルール上、ネットなんかで調べるのもありのはずだ。あとは図書室の本で探すのも。奈津美先輩も、禁止とは言っていなかったし。
この材料だけでどこまで探せるかわからないけど、奈津美先輩のことだ。きっと製本に使う道具か何かだろうし、答えを見つけられるかもしれない。司書志望者の腕の見せ所だ。
気合を入れて、僕はズボンのポケットからスマホを取り出した。
と、その時だ。
「あれ? 悠里君じゃん。そんなところで何してんの?」
不意に声を掛けられ、僕は視線をスマホから声のした方へ移した。
そこには、僕に向かって手を振るふたりの女性が立っていた。
「真菜さんに陽菜乃さん。どうも、ご無沙汰しています」
「やっほー。一カ月ぶりくらいかな」
「お久しぶりです。元気そうね、一ノ瀬君」
そう。僕に手を振っていたのは、夏休みにお世話になった書籍部OGの真菜さんと陽菜乃さんだったのだ。
どうやらこの人たちも、文化祭を観に来たらしい。まさかこんなところで会えるなんて、びっくりだ。