「……ここに一人で来てもらったのはね、今の話を聞いてほしかったのと……相沢くんに見てほしいものがあったからなの」
「見てほしいもの?」
次の瞬間、恭矢は目を見開いた。由宇が身に纏っている上着だけでなく、中に着ていたセーターまで脱ぎだしたからだ。
「う、うわっ!?」
間抜けな声を出し慌てて目を逸らしたものの――この状況、男としてはどうしても本能が勝ってしまう。
悪いと思いながらも欲望に抗えずに由宇の方を盗み見ると、恭矢の真正面に立っている彼女の鎖骨からへそまで、柔らかそうな上半身が丸見えだった。
もう駄目だった。こんな誘惑に勝てるわけがなかったのだ。気がつけば由宇の姿を目に焼き付けんばかりに、凝視していた。衣服を介さない由宇の腰は細く、女を感じさせる曲線が美しかった。
ブラジャー1枚の由宇が頬を赤く染めながら見せた流し目はぞっとするほど妖艶で、有り体に言ってしまえば、恭矢は欲情していた。瞬きすら惜しいその魅力を食い入るように見ていると、由宇はついにホックを外した。
恭矢が生唾を飲み込んだのとほぼ同時に、由宇は後ろを向いた。
背中を見せられる形になった恭矢はここで、彼女が脱いだ目的を悟った。
「……これが、わたしと青葉の能力の秘密」
月明かりに透ける小泉由宇の白い背中には、青葉と同じ星形の黒い痣があったのだ。
「この刺青がわたしと青葉に〈記憶〉に関する能力を与える源になっていると、母から教わっているわ」
「……ってことは、その刺青さえなくなれば小泉たちは能力を失うってことだよな? 理由がわかっているなら、どうして消そうとしなかったんだ?」
傷跡が残るからという理由を失念していた恭矢は口にしてから慌てたが、由宇はふっと笑った。
「消してしまおうと考えたことがないといったら嘘になるけれど……これは母とわたしの罪だから。消して忘れてしまうなんて、できない」
由宇はまだ、青葉に実行した記憶の強奪を気にしているのだ。彼女の中で何か特別な心変わりでもなければ、恭矢や青葉がどれだけ言葉をかけたところで意味はないのかもしれない。
「じゃあ逆にさ、俺がその刺青を入れれば、小泉や青葉みたいな記憶に関する能力を手に入れることができるのか?」
もし由宇たちの持つ能力を手に入れることができれば、彼女たちを救う道は格段に広がるはずである。
「……母曰く、活動している子宮もないと駄目みたい。前にも言ったけれど、わたし自身能力が使えるようになったのは生理がきてからだったから。だから、男のひとには使えない……って、そう思ってたんだけど……男のひとが能力者になる条件が、実は一つだけあるの」
「本当⁉ それは、俺にもできそうなこと? だったら教えてほしい。俺も力になりたいんだ」
由宇はその先の言葉を口にするのを躊躇ったように見えたが、恭矢が真剣な瞳で彼女を見つめると覚悟を決めたように息を吸った。
「……一度でも能力を使ったことのある女の子の子宮に触れれば、それが能力発動の条件になるわ」
……男が子宮に触れる? それって、つまり……。
恭矢は由宇の言わんとすることを悟ったと同時に彼女との行為を想像してしまい、罪悪感と恥ずかしさから目を背けた。
「わたしが以前、青葉とセックスしたかどうかを聞いたのはこれが理由。もし相沢くんが青葉とセックスしていたなら、何かが変わっていたかもしれないと思って」
「見てほしいもの?」
次の瞬間、恭矢は目を見開いた。由宇が身に纏っている上着だけでなく、中に着ていたセーターまで脱ぎだしたからだ。
「う、うわっ!?」
間抜けな声を出し慌てて目を逸らしたものの――この状況、男としてはどうしても本能が勝ってしまう。
悪いと思いながらも欲望に抗えずに由宇の方を盗み見ると、恭矢の真正面に立っている彼女の鎖骨からへそまで、柔らかそうな上半身が丸見えだった。
もう駄目だった。こんな誘惑に勝てるわけがなかったのだ。気がつけば由宇の姿を目に焼き付けんばかりに、凝視していた。衣服を介さない由宇の腰は細く、女を感じさせる曲線が美しかった。
ブラジャー1枚の由宇が頬を赤く染めながら見せた流し目はぞっとするほど妖艶で、有り体に言ってしまえば、恭矢は欲情していた。瞬きすら惜しいその魅力を食い入るように見ていると、由宇はついにホックを外した。
恭矢が生唾を飲み込んだのとほぼ同時に、由宇は後ろを向いた。
背中を見せられる形になった恭矢はここで、彼女が脱いだ目的を悟った。
「……これが、わたしと青葉の能力の秘密」
月明かりに透ける小泉由宇の白い背中には、青葉と同じ星形の黒い痣があったのだ。
「この刺青がわたしと青葉に〈記憶〉に関する能力を与える源になっていると、母から教わっているわ」
「……ってことは、その刺青さえなくなれば小泉たちは能力を失うってことだよな? 理由がわかっているなら、どうして消そうとしなかったんだ?」
傷跡が残るからという理由を失念していた恭矢は口にしてから慌てたが、由宇はふっと笑った。
「消してしまおうと考えたことがないといったら嘘になるけれど……これは母とわたしの罪だから。消して忘れてしまうなんて、できない」
由宇はまだ、青葉に実行した記憶の強奪を気にしているのだ。彼女の中で何か特別な心変わりでもなければ、恭矢や青葉がどれだけ言葉をかけたところで意味はないのかもしれない。
「じゃあ逆にさ、俺がその刺青を入れれば、小泉や青葉みたいな記憶に関する能力を手に入れることができるのか?」
もし由宇たちの持つ能力を手に入れることができれば、彼女たちを救う道は格段に広がるはずである。
「……母曰く、活動している子宮もないと駄目みたい。前にも言ったけれど、わたし自身能力が使えるようになったのは生理がきてからだったから。だから、男のひとには使えない……って、そう思ってたんだけど……男のひとが能力者になる条件が、実は一つだけあるの」
「本当⁉ それは、俺にもできそうなこと? だったら教えてほしい。俺も力になりたいんだ」
由宇はその先の言葉を口にするのを躊躇ったように見えたが、恭矢が真剣な瞳で彼女を見つめると覚悟を決めたように息を吸った。
「……一度でも能力を使ったことのある女の子の子宮に触れれば、それが能力発動の条件になるわ」
……男が子宮に触れる? それって、つまり……。
恭矢は由宇の言わんとすることを悟ったと同時に彼女との行為を想像してしまい、罪悪感と恥ずかしさから目を背けた。
「わたしが以前、青葉とセックスしたかどうかを聞いたのはこれが理由。もし相沢くんが青葉とセックスしていたなら、何かが変わっていたかもしれないと思って」