「ライバルってやつか。まあでも、仲は良さそうだな」

「そうだな。でも、絶対負けたくないっていうのはマジ。努力は積み重ねが大事だからさ、とにかく一秒でも長くボールに触ろうと思って俺、今すげえ練習してんだ」

「知ってるよ。お前、授業中爆睡だもんな」

 瑛二の努力は第三者の恭矢から見てもよく伝わってくるものだった。毎日遅くまで自主練習をしていると聞くし、休み時間も暇があればボールを触っている。瑛二の努力は素直に応援する気持ちになれるものだった。

「ところでさ、面白い心理テストを教えてもらったからやってみようぜ。恭矢、俺の指を見ろ。どの指が一番綺麗にマニキュア塗れていると思う?」

「想像できないんですけど」

「いいから選べ。なんなら小泉を想像してみろ」

 瑛二は右手を恭矢の目の前に突き出して選択を迫った。誰にも話していないはずなのに態度で筒抜けなのか、恭矢が由宇に好意を持っていることは、いつの間にか友人たちにバレていたのだった。

「じゃあ……小指?」

 恭矢の選択に瑛二は噴き出した。

「なんだよ」

「いやいや。これで何がわかるかって言ったらさ、セックスのときに何を重要視するかなんだってよ。小指はムード重視らしいぜ。お前は乙女だなー」

「もう一回やらせろ」

「心理テストの意味ねえじゃんか」

 声を出して笑う瑛二に言いがかりをつけながら、恭矢は青葉が作ってくれた美味しい弁当をしっかりと完食した。