加恋ちゃんが木陰で休んでから1時間くらい経った。


 加恋ちゃんの体調は、だいぶ良くなっているように見えた。

 穏やかな表情で僕の肩に寄りかかりながらスヤスヤと寝ていた。


 ……それなのに……。

 ……こんなときに……。

 加恋ちゃんの体調が良くなりかけているとはいえ、加恋ちゃんは体調が良くなかったのは事実だ。


 それなのに……僕は……一体何を考えているんだ。

 加恋ちゃんの……やさしい寝息が……僕の耳元で聞こえて……。

 ……って、ダメだ‼ ダメだ‼ まったく僕は‼

 加恋ちゃんは体調が良くないのに‼


 ……じゃあ……もし加恋ちゃんの体調が良かったら……。

 ……って、違う‼ 違う‼ 違う‼

 まったく僕は‼


「……ん……」


 ……加恋ちゃん……‼


 加恋ちゃんが目を覚ました。