「ごめんね、優くん、待ったでしょ」


「…………」


「……優くん……?」


 僕は加恋ちゃんの姿に見とれていた。


 かわいい浴衣姿。


 僕は加恋ちゃんに見とれ過ぎて声が出なかった。


「……優くん……?」


 加恋ちゃんが少し心配そうな顔をしていた。


 心配そうな顔をしている加恋ちゃんに、僕はなんとか加恋ちゃんに声をかけなければと思うのだけど……。


「……かわいい……」


 僕がやっと出した声は、この一言だった。


「……優くん……」


『かわいい』……その一言を発してからも、僕はなかなか声を出すことができなかった。


「ありがとう、優くん」


 加恋ちゃんの天使のような笑顔。


 加恋ちゃんの天使のような笑顔を見た、僕。


 僕の心は、すべて加恋ちゃんに持っていかれた。