夢ではなかった。


 僕は加恋ちゃんが隣にいる方とは反対側の頬をこっそりつねってこれが夢なのかどうかを確かめた。


 よかった、夢じゃなかった……。


 僕は確かに秘密の場所に行く道のりを加恋ちゃんと一緒に歩いている。


 そして……。





「着いた……」


「ここが……優くんが言っていた秘密の場所……」


 加恋ちゃんと……。


 加恋ちゃんと一緒に来ることができた……。


 僕がとても気に入っている秘密の場所に……。


「きれい……」


「でしょ」


 この場所はとても美しい。

 一面に広がる草原。

 そこに咲く花たち。

 そして大きな木。

 この場所から見る広くて美しい空。

 この空間にやさしく吹き抜ける風。

 この場所に存在するすべてのものが美しい。


「うん、すごくきれい……」


 加恋ちゃんはそう言って、目をキラキラと輝かせていた。


 僕が気に入っている秘密の場所の景色を見ている加恋ちゃん。


 僕は、そんな加恋ちゃんのことを見ていた。


 僕は嬉しかった。