ノートの束を職員室まで運んでいるときに後ろから小走りしたような足音が聞こえてきた。

 その音はどんどん近づいてくる。


 僕は気になって後ろを振り向こうとしたと同時。


「草野くん‼」


 僕の後ろから花咲さんの声が聞こえた。


 僕は花咲さんの声に足を止めた。


 そして僕は花咲さんの方を見た。


「よかった、追いついて」


 少しだけ息を切らしている花咲さん。


「花咲さん」


 僕は、花咲さんが僕のことを追いかけてきたことに少し驚いていた。


「廊下は走っちゃいけないことはわかってるんだけど少し走っちゃった」


 少し頬をピンク色に染めながら花咲さんがそう言った。


「花咲さん、どうしたの?」


 僕は少し驚きながら花咲さんにそう訊いた。


「私にもノート、半分持たせて」


「え……?」


 花咲さんがそう言ってくれて嬉しかったけど、少しだけ戸惑いもあった。


 なぜなら、転校してきたばかりの花咲さんにいきなり手伝ってもらうのも少し気が引けるから。


 僕はそう思っているのだけど……。


「ねっ」


 花咲さんは笑顔で手を差し伸べる。