そのときに加恋ちゃんの指が僕の手に触れているだけではなく、腕も僕の腕に触れている。

 顔も、さっきよりももっと接近度が高い。

 僕の胸の鼓動は高鳴りっぱなしだった。

 顔も、さっきよりも熱くなっている。

 そして顔だけではなく、全身も熱くなってきている。


「優くん、草花たちに水をやったら草花たちが太陽の光に当たってキラキラしてるね。すごくきれい」


「……うん、そうだね」


 草花たちに水分がついてそこに太陽の光が当たり、そのことでキラキラと輝いている草花たち。

 キラキラと輝いている草花たちもきれい。


 でも今、僕はそれ以外のきれいを見ていた。

 ……加恋ちゃん……。

 僕と一緒に草花たちに水をやっている加恋ちゃん。

 草花たちを見ている加恋ちゃんの表情はとても穏やかでやさしく、そして美しい……。

 僕は、そんな加恋ちゃんに見とれていた。


 なんて幸せな時間……。

 そして、なんて美しい時間……。


 僕は、このまま時が止まってほしいと思った。

 このまま時が止まれば、あの言葉は関係なくなる。