さりげなく加恋ちゃんの指から手を離す……それは難しい……。
ならどうすれば……。
きっと今こうしている時間は、ほんの一瞬。
でも僕はそれ以上に感じた。
……僕は…………。
……もう……限界……かもしれない……。
僕は、このまま加恋ちゃんに…………。
「優くん」
……‼
僕は加恋ちゃんの声で我に返った。
「優くん、草花たちに水をやろう」
加恋ちゃんはそう言うと、加恋ちゃんの指がジョウロと僕の手に触れたままジョウロを傾けた。
ジョウロを傾けたときに、加恋ちゃんの指が触れていて緊張している僕の手が震えそうになり、その震えがジョウロと加恋ちゃんの指に伝わりそうになった。
僕はその震えを必死に抑えた。
そして手の震えを抑えながら傾けたジョウロの口から水が出てきた。
まずはシャワーになっている口を上に向け、やわらかく全体に。
次にシャワーの口を下に向け、目的の草花に集中して水をかけた。
僕は草花に水をやりながらも心は別のところに行っていた。
加恋ちゃんと一緒に草花に水をやっている。