加恋ちゃんは僕の様子をうかがうように顔を少しだけ僕に近づけた。


 加恋ちゃんの顔が近づいてますます僕の身体は硬直した。


「優くん……」


 僕の名前を呼ぶ加恋ちゃん。


 僕は、まだ硬直していたせいか、声が出ない。


 すると、声が出なくて返事をすることができなかった僕に加恋ちゃんが……。


「私、来週が水やりの当番だけど、今、ちょっとだけ水やりしてみたい。……いい?」


 とてもかわいらしく言う加恋ちゃん。


 そんな加恋ちゃんを見て僕はさらに胸の鼓動が高鳴りだした。


 するとそんな僕に加恋ちゃんが……。


「優くん、草花たちにどれくらい水をやればいいか教えて」


 ……‼ 


 か……加恋ちゃん……‼


 加恋ちゃんはそう言って僕が持っているジョウロに手を添えた。


 そのときの加恋ちゃんの顔の接近度がすご過ぎて僕は思わずジョウロから手を放しそうになった。


 僕は、この手をどうしたらいいのだろう……。


 僕が持っているジョウロを加恋ちゃんも持っている。


 ジョウロを持っている加恋ちゃんの細くてきれいな手の指が僕の手に触れている。