「うん、そうなんだけど、一度、見ておきたかったの、水やりの作業を」


「そうなんだ」


 加恋ちゃんは熱心だな。


 僕は、そんな熱心な加恋ちゃんのことを感心した。


「それに……」


 ……?


「それに……?」


「水分をもらって草花たちが喜んでいる様子を優くんと一緒に見たかったの」


 加恋ちゃんは、とてもやさしく微笑んでいた。

 それはまるでやさしく穏やかに咲く美しい花そのもののように……。


 加恋ちゃんのその言葉で僕の胸の鼓動が高鳴るのを感じた。

 僕は加恋ちゃんのことで何度も何度も胸の鼓動が高鳴るようになった。

 こんなに何度も高鳴り続けては心臓に良くないのでは……? と、思うくらいに……。


「加恋ちゃん……」


 僕は加恋ちゃんに見とれていた。

 僕は加恋ちゃんに見とれ過ぎて身体が動かなくなっていた。


「優くん……?」


 そんな僕の様子を加恋ちゃんは不思議そうに見ていた。


 僕は、まだ身体が動かない。


「優くん……?」


 ……‼


 か……加恋ちゃん……。