僕は自分がずっと秘密にしてきた特別な場所のことを話しただけではなく、今日、転校してきたばかりの花咲さんにその秘密の場所に行こうと誘っている。
僕は、そんな自分に驚いていた。
どうしてそんなにも大胆なことができるのか自分でもわからなかった。
「え……」
僕のその言葉に少し驚いている様子の花咲さん。
「ねっ、花咲さん」
僕のこの積極性はどこからくるのか。
僕自身、こんなにも積極的になるのは生まれて初めてだ。
僕もこんな積極的になるときがあるのだと新しい発見だった。
「……来年……」
……⁉
……花咲さん……?
花咲さんは僕から目線をそらした。
花咲さんの様子がおかしい……。
花咲さんの表情は、どこか悲し気に見えた。
「……どうしたの? 花咲さん。僕、何かまずいことを言ってしまった?」
僕は慌てて花咲さんにそう訊いた。
「ううん、そうじゃないの。ただ……」
「……ただ……?」
「わたしは来年の今頃は、ここにはいないと思うから……」
「え⁉ いないって……⁉ それって……」
どういう意味……?