* * *



 遊園地を出て秘密の場所に着いたのは午後5時近くになっていた。


「ごめんね、加恋ちゃん。3時過ぎくらいにって言ってたのに大幅に過ぎちゃったね」


「ううん、いいの。だって遊園地楽しかったんだもん」


 いつものように天使のような笑顔の加恋ちゃん。

 僕は、そんな加恋ちゃんの笑顔を見ると元気が出てくる。


 僕は、ずっとずっと加恋ちゃんといたい。

 10年後も20年後も50年後も……この命ある限りずっとずっと……。

 まだ中学生だからそれを考えるのは早すぎるのかもしれないけど……僕は将来、加恋ちゃんと結婚したい。

 そして僕と加恋ちゃんと、僕と加恋ちゃんの子供たちに囲まれて幸せに暮らしたい。


 ……でも……。

 ……でも……やっぱりずっとずっと引っかかっている……加恋ちゃんのあの言葉……。





『来年の今頃は、ここにはいない』





 加恋ちゃんのあの言葉を聞いてからすでに年は明けている。

 となると、もうすこしで加恋ちゃんはこの町から……僕のもとからいなくなる……?

 ……嫌だ……嫌だよ……加恋ちゃん……。