加恋ちゃんが僕の腕にしっかりとしがみついている……。

 僕の腕にしっかりとしがみついているから……加恋ちゃんの……胸が……僕の腕に……。

 ダメだ……加恋ちゃんが怖がっているときに僕はこんなことを思ってしまうなんて……。

 ダメだ‼ ダメだ‼ 変なことを考えるな‼


「優くん……」


 ……‼


 加恋ちゃんに名前を呼ばれて僕は我に返った。


「加恋ちゃん……」


「怖い……」


 加恋ちゃんのかわいい声。

 僕は、その声にとろけてしまいそうな気持ちになった。

 ……って……おっと、加恋ちゃんが怖がっているのに僕はまた……。


「大丈夫、僕がずっといるよ」


 僕は、そう言って加恋ちゃんがしがみついていない方の手を僕の腕にしがみついている加恋ちゃんの手の方にやさしくポンとのせた。


「うん……ありがとう、優くん」


 加恋ちゃんは少し安心した様子になった。



 お化け屋敷を出た、僕と加恋ちゃん。


 それからもいろいろな乗り物に乗った。

 ……ただ……絶叫マシンだけは僕の希望で乗らなかった。



 こうしてあっという間に時間が過ぎていった。