「加恋ちゃん、3時までどこに行く? 加恋ちゃんの行きたいところに行こ」


「いいの? 優くん」


「もちろんだよ」


「ありがとう、優くん」


「わざわざお礼なんていいよ」


「ううん、言わせて。本当にありがとう、優くん」


 加恋ちゃん……。


「じゃあ、行こう、加恋ちゃん。……って、まだ行くところ決めてなかったね」


「優くん」


 加恋ちゃんはやさしく笑っていた。


 加恋ちゃんはやさしく笑った後……。


「遊園地」


「遊園地……」


「うん、遊園地に行ってみたい」


「『行ってみたい』……って、加恋ちゃん、遊園地に行ったことないの?」


「あ……えっと……その……」


 加恋ちゃんは、とても言いづらそうにしていた。