「……加恋ちゃん」


「なぁに、優くん」


「……ハグして……」


 加恋ちゃんのぬくもりがほしい。


「優くん」


「そうじゃないと僕、このまま帰ることができない」


「優くん」


 僕が言ったことに加恋ちゃんは笑顔になって、そっと僕のことをハグしてくれた。


「……加恋ちゃん……」


「優くん」


 加恋ちゃんのぬくもり。

 それはとてもあたたかで、なぜか少し涙が出てきそう……。


「ありがとう、加恋ちゃん」


「こちらこそありがとう、優くん」


 本当はずっとこうしていたいけど、そういうわけにはいかないから、僕はそっと加恋ちゃんから離れた。


「じゃあ、また明日ね、加恋ちゃん」


「また明日ね、優くん」


 加恋ちゃんは僕に手を振って家へ向かって歩き出した。


 僕は、そんな加恋ちゃんのことを静かに見守った。