注文を済ませた後、僕と加恋ちゃんは窓の方を見ていた。
そして窓の方を見ていた僕は、見る方向を加恋ちゃんに変えた。
加恋ちゃんはとてもきれいな表情で窓の方を見ている。
そんな加恋ちゃんのことを見ながら僕はあることを訊こうと思った。
「ねぇ、加恋ちゃん」
「なぁに、優くん」
加恋ちゃんの顔が窓から僕の方に移った。
「あのさ、僕たち今年の4月から中学三年生じゃない。それで思ったんだけど、加恋ちゃんは行きたい高校とか決めてる?」
「……え……」
「あっ、まだ決めてなかったら言わなくていいんだけど……」
「…………」
加恋ちゃんは無言になり、少し深刻そうな表情をして下を向いてしまった。
……加恋ちゃん……。
……僕は……。
僕は不安なんだ。
時々、見せる加恋ちゃんの無言が僕を不安にさせる。
でも確かに今の質問は僕が悪かった。
加恋ちゃんにそんなに先のことを訊くなんて……。
加恋ちゃんに先のことは訊いてはいけないと思っているのに、つい訊いてしまう。