* * *



 昼休みが終わってから、あっという間に午後の授業も終わった。


 僕は部活をしに行くために教室を出る準備をしていた。


 クラスの生徒たちは帰宅したり部活をしに行ったりして教室はガランとしていた。

 今、教室にいるのは僕と愛美ちゃんの二人だけだった。


 愛美ちゃんも帰る準備をしていた。

 そして帰る準備が終わった、愛美ちゃん。

 帰る準備が終わった愛美ちゃんは、そのまま教室を出るのかと思った。

 すると愛美ちゃんは僕の方に向かって歩いてきた。


「ねえ、優くん。優くんは何か部活はやってるの?」


 そう訊いた、愛美ちゃん。


「うん、園芸部をやってる」


「園芸部……なんか優くんらしい」


「僕らしい?」


「うん。だって優くん前からずっと植物たちのことをとても大事に可愛がっていたでしょ」


「うん、好きだから」


「『好きだから』……か……。なんか植物たちが羨ましい」


「そうかな」