「草野―‼」


 ……え……?


 誰かが僕のことを呼んでいる……?


 それとも幻聴……?


「花咲ー‼」


 やっぱり幻聴じゃない。


 確かに僕と加恋ちゃんのことを呼んでいる。


 僕は、やさしく加恋ちゃんから離れて周りを見渡した。


「草野―‼」


 今度は最初に聞こえたときよりもはっきりと聞こえた。


 声がよく聞こえてきたから、きっと僕たちの方に近づいてきているんだ。


 その声は聞き覚えのある声だった。


「花咲―‼」


 あの声は……。


 そう思ったとき、草をガサガサとかき分ける音がした。


 そして……。


「いた‼ 草野‼ 花咲‼」


 その声は先生たちの声だった。