「4人なのに、部屋、すごい広いね」
美咲が部屋を見回して言う。
たしかに、と思う。4人しかいないのに、10人くらいは入りそうな部屋で、なんだかがらんとして見える。
そのとき、岩田さんがびっくりすることを言った。
「あ、あとで4人来るから。そろそろ来ると思うんだけど……あ、ラインきてた。今着いたって」
「え?」
あと4人?てっきり、この4人だけだと思っていた。他にもいるなら、なんで言わなかったんだろう。急に決まったのかな……。
ただでさえカラオケが苦手で緊張していた私は、人数が増えるというだけで緊張度がぐんと増す。誰だろう。クラスの子たちならまだいいけど、全然知らない人たちだったら……。
「おまたせーっ」
賑やかな声とともにドアが開いた。ワイワイと騒ぎながら入ってきた人たちを見て、心臓が止まりそうになった。
「おー遅れてごめんな」
「ほんとだよー」
「こいつが遅刻するからさあ。迷ったとか言うし」
「ごめんって。あとでジュース1回持ってくるから」
「安いなあ」
隣のクラスの男子たちだ。遅刻したことを謝っているのは、同じ中学だった守屋くん。中学のとき、何度か話をしたことがある。
そして、最後に入ってきたのは、陽太だった。

ーーえ、なんで?

呆然としながらその姿を見る。なんで陽太がここにいるの。
男子4人が、何か冗談を言って笑いながら、テーブルを挟んで向かいのソファに座る。陽太は、私の目の前に座った。
偶然だろうけれど、どうして目の前に座るのと憎らしくなる。
顔をあげられない。でも、正面からじっと見られている気がする。みんなが何か言っているけれど、その内容がまるで耳に入ってこない。