◯
「光里ー」
カラオケの前で、私に気づいた美咲が手を振っている。
早めに出たはずなのに、場所がよく分からなくて地図と睨めっこしながら歩いていたら、集合時間ギリギリになってしまった。こんなことなら美咲と待ち合わせてこればよかった。
「ごめんね、待った?」
肩で息をしながら言う私。
「ううん、全然。私たちも来たばっかりだし」
と岩田さんがにっこり笑って言って、
「じゃ、中はいろっか」
と荒川さんが続く。
2人はこのお店の常連らしく、慣れた様子で受付を済ませ、マイクとカゴを受け取った。プラスチックのコップにフリードリンクコーナーで冷たいお茶を注いで、部屋のドアを開ける。
「さー歌うぞー」
「あ、あたしあれ歌いたい。最近C Mでやってる……」
楽しそうに話しながら部屋に入っていく3人。私はドアの前で立ち尽くした。
ーーどうしよう。足が動かない。
「どうしたの、光里」
美咲が首を傾げる。
声を出せずにいると、
「なんか暗くない?もうすこし明るくしよっか」
美咲がドアのそばのスイッチを押した。
天井に埋め込まれた小さな丸いライトが6つあり、すこしずつ明るさを調節できるようになっているらしい。
明るくなった部屋に、ホッとする。
こっちこっちと美咲に手招きされて、私は中に入った。
言ったことはないけれど、美咲は私が暗いところが苦手なのを知っているのかもしれない。さりげない気づかいに、ひそかに感謝する。
「光里ー」
カラオケの前で、私に気づいた美咲が手を振っている。
早めに出たはずなのに、場所がよく分からなくて地図と睨めっこしながら歩いていたら、集合時間ギリギリになってしまった。こんなことなら美咲と待ち合わせてこればよかった。
「ごめんね、待った?」
肩で息をしながら言う私。
「ううん、全然。私たちも来たばっかりだし」
と岩田さんがにっこり笑って言って、
「じゃ、中はいろっか」
と荒川さんが続く。
2人はこのお店の常連らしく、慣れた様子で受付を済ませ、マイクとカゴを受け取った。プラスチックのコップにフリードリンクコーナーで冷たいお茶を注いで、部屋のドアを開ける。
「さー歌うぞー」
「あ、あたしあれ歌いたい。最近C Mでやってる……」
楽しそうに話しながら部屋に入っていく3人。私はドアの前で立ち尽くした。
ーーどうしよう。足が動かない。
「どうしたの、光里」
美咲が首を傾げる。
声を出せずにいると、
「なんか暗くない?もうすこし明るくしよっか」
美咲がドアのそばのスイッチを押した。
天井に埋め込まれた小さな丸いライトが6つあり、すこしずつ明るさを調節できるようになっているらしい。
明るくなった部屋に、ホッとする。
こっちこっちと美咲に手招きされて、私は中に入った。
言ったことはないけれど、美咲は私が暗いところが苦手なのを知っているのかもしれない。さりげない気づかいに、ひそかに感謝する。