袋からお弁当を取り出して、「え」と声をあげた。
「これ、お父さんの……」
お父さんはかなりの大食いなので、お弁当箱も私の2倍くらいのサイズだ。ということは、お父さんのほうには私の小さめ(しかも花柄)のお弁当箱が入っているわけで……ちょっと同情する。
中身の半分は肉で占められていて、とてもひとりで食べられる量ではない。
「お母さん、たまにこういう間違いするんだよね」
「あはは、さすが光里のお母さん。でもなんかかわいいね」
美咲に笑われてしまい、我ながら納得してしまう。私がぼんやりしているのは、間違いなくお母さんの血を引き継いでいると思う。
「美咲のお弁当は、いつもきれいだよね」
「ほんと?」
美咲が目を光らせて私を見る。
「うん、バランスがよくて、彩りもきれい」
そう言うと、美咲は照れ臭そうに笑った。
「じつは最近、自分で作ってるんだよね。お母さんのの見よう見まねなんだけど」
「えっ、これ全部、美里の手作り?」
「ちょっと食べてみる?」
「えっ、いいの?」
「どうぞ。味見してもらいたかったんだ」
五目入りの卵焼きが自信作だと言うので、ひとつもらって口に入れる。
「おいしい……っ!」
冷めているのにふわふわな卵、細かく刻まれた野菜、ほんのり甘みのある味付けも絶妙だ。
「美咲、いいお嫁さんになるよ……」
「卵焼きくらいで大げさだなあ。でも、褒められると嬉しいね。ありがとう」
すごいな、と心底感心する。勉強も部活も頑張っていて、お弁当まで自分で作っているなんて。
卵焼きの代わりにハンバーグとチキンを美咲にあげた。もうお腹いっぱいと、2人で笑う。