やがてそれも解けると、また途端に訪れる入れ替わり。
 キーンと頭を打つような音も響いた。
 そして、知音もその瞬間に「代わったね」と指摘する。流石は何でも分かると豪語するだけのことはあった。

 そうと分かると、途端に向けられる鋭い視線。
 射貫かれたみたいに、また琢磨は目を逸らすことが出来なかった。

「仲村さんと言ったかしら。実体がないとは言え、入れ替わるってことは、しおの身体を自由にすることが出来るのよね?」

「そういうことになるな」

 答えると、眼光は鋭さを増した。

「しおの身体で、やらしいことしてないでしょうね?」

 その言葉の裏には「もしやっていたら殺す」とでも書いていそうな程の剣幕だった。

「入れ替わっている間も互いに意識はあるって言ったろ」

「分かんないでしょ。お風呂とかはどうしてるの? 綺麗好きなしおのことだから、色々諸々と洗わないわけにはいかないでしょ?」

「基本は本人が出て来てる時に済ませるってことになってる」

「基本は、か」

 知音はそれでも、煮え切らない様子だ。

「まぁ、ある程度でも決まってるなら良いか。アトランダムだって話だし、途中で入れ替わっちゃうのは仕方ないよね」

「アホ程怒ってくるから、都度都度でちゃんと土下座してますとも」

「なら良し」

 親指を立ててナイスガイポーズ。
 それは最早助長しているようなもので、中で汐里が文句を言っていた。