「俺、春から東京でひとり暮らしするけど、会いに行くから」
「先輩……」
 誰かを好きになるということは、こんなにも胸が苦しくなることなのか。
 瀬名先輩の肩越しに舞う雪を見つめながら、私は何度も彼の胸の中で頷いた。
 うなずくだけで言葉にできない私の頭を、瀬名先輩は優しく撫でてくれたのだった。