――ときどき、夢を見る。
銀世界。家族。兄姉。両親。子供の笑い声と、子犬のはしゃぐ鳴き声。
あれは……なんだろう。たくさんの動物……犬が集まっている。その中から一匹がこちら
に向かって走ってきて、俺は抱きとめようと手を伸ばす――。
「うぅっ……寒っ」
ブルリと体を震わせて目覚めた俺は、自分の体の上に布団がないことに気がつく。布団は
どこへ行ったのか、その謎は横を向いたらすぐに解けた。
「あーっ。ドルー、また~」
掛け布団をひとり占めしてスヤスヤと寝ているのは、人間になったドルーだ。自分だけ布
団にくるまって幸せそうに寝息をたてている。
俺はため息をつくと仕方なくベッドから降りて、クローゼットからもうひとつ布団を出し
てきた。
夏はエアコンの効いたリビングでひとりで寝たがっていたドルーは、最近は涼しくなって