――ごめん、ドルー。本当にごめん。俺が悪かった。だから死なないでくれ……!

 俺は唇を噛みしめながら何度も心の中で謝った。視界が涙で曇って、ドルーの姿がよく見
えない。
 ドルーは処置室の台の上に力なく横たわり、苦しそうに嘔吐を繰り返している。大嫌いな
注射針を刺されても体がピクリと動くだけで、悲鳴をあげる元気もない。

 泣くばかりでなにもできないまま俺が立ち尽くしていると、処置を終えた院長先生が「天
澤さん」と肩を叩いた。

「やはりぶどう中毒ですね。全部嘔吐させましたが、腎臓がダメージを受けていないか検査
が必要です。吸収してしまった中毒物質は点滴で排泄させることになるので、今日は入院に
なります。よろしいですか?」

 二十四歳にもなって情けなくベソを掻きながら、俺は「お願いします、ドルーを助けてや
ってください……! なんでもしますから、元気なあいつに戻してやってください!」と、
先生に縋りついた。

 ――こんなことになるなら、もっとドルーの言うことを聞いてあげればよかった。
 後悔してももう遅い。過ぎてしまった時間はやり直せない。けれど俺は台の上でぐったり
と横たわっているドルーを見て、心の底から悔やまずにはいられなかった。