の男の顔立ちは半端ない。なんて言ったらいいのだろう、イケメンとかもはやそんな語彙に
収まるレベルではなく……芸術品と同じカテゴリに属するような。
「きれー……彫刻かよ……」
見れば見るほど美しくて、思わず見入ってしまった。寝息と同じリズムで揺れる睫毛は潤
沢で、びっくりするほど長い。目の間のくぼみから鼻筋までのラインは神様が計算しつくし
たとしか思えないほど完璧なラインで、少し厚みのある唇は、男の俺でもドキッとする色っ
ぽさだ。肌はなめらかで白く、髪は……シルバーアッシュかな? 銀色に見える不思議な色
をしている。
そして美しさだけでなくさらに驚愕なのが、その体格だ。おそらく百八十……いや、百九
十センチ近くはあろう長身。がっしりとした腕に腿、パンと張った胸と割れた腹筋。ひと目
でただものじゃないってわかる筋肉のつき方だ。もしかしてスポーツ選手とかだろうか。そ
んな筋肉を纏っているのに、ゴツくはないのがまたすごい。どちらかというとギリシャ彫刻
の裸体みたいで、やっぱりこの人芸術品っぽいなと感心してしまった。しかし――。
「なんで全裸……?」
俺は彼の美しさに陶酔しながらも頭を抱える。そのやたら整った体は、一糸すらまとって
いない。……いや、まとっている。ボルドーカラーのチョーカーだけ。なぜ。そういうファ
ッションなのか?
とにかく、見知らぬ美形男がまっぱだかで俺と寝ていたという事実に頭がクラクラとする。
……いわゆる〝お持ち帰り〟をやらかしてしまったのだろうか。同性愛者である自覚も、ワ
ンナイトラブをするほど軽い男である自覚もないのだけれど、酔った勢いというのはなにを
しでかすかわからない。
「でも俺、服着てる……」
俺の格好はゆうべの着の身着のままだ。脱いで着直した、ってわけでもなさそうだ。
ますます昨夜なにがあったのかわからず混乱していると、スヤスヤと聞こえていた寝息が
途切れた。そしてドキリとする俺の目の前で、美形男が「んー……」と眩しそうに顔をしか
めてから、大きな欠伸をする。
目覚めた美形男は、のったりと上半身を起こした。そして顔にかかっていた髪を手で掻き
あげてから、その双眸を開く。切れ長の目の中央に位置する瞳は、空のように青かった。
「おはよう、カナタ」
うーんと伸びをしてから、男はそう言った。流暢な日本語だ。
収まるレベルではなく……芸術品と同じカテゴリに属するような。
「きれー……彫刻かよ……」
見れば見るほど美しくて、思わず見入ってしまった。寝息と同じリズムで揺れる睫毛は潤
沢で、びっくりするほど長い。目の間のくぼみから鼻筋までのラインは神様が計算しつくし
たとしか思えないほど完璧なラインで、少し厚みのある唇は、男の俺でもドキッとする色っ
ぽさだ。肌はなめらかで白く、髪は……シルバーアッシュかな? 銀色に見える不思議な色
をしている。
そして美しさだけでなくさらに驚愕なのが、その体格だ。おそらく百八十……いや、百九
十センチ近くはあろう長身。がっしりとした腕に腿、パンと張った胸と割れた腹筋。ひと目
でただものじゃないってわかる筋肉のつき方だ。もしかしてスポーツ選手とかだろうか。そ
んな筋肉を纏っているのに、ゴツくはないのがまたすごい。どちらかというとギリシャ彫刻
の裸体みたいで、やっぱりこの人芸術品っぽいなと感心してしまった。しかし――。
「なんで全裸……?」
俺は彼の美しさに陶酔しながらも頭を抱える。そのやたら整った体は、一糸すらまとって
いない。……いや、まとっている。ボルドーカラーのチョーカーだけ。なぜ。そういうファ
ッションなのか?
とにかく、見知らぬ美形男がまっぱだかで俺と寝ていたという事実に頭がクラクラとする。
……いわゆる〝お持ち帰り〟をやらかしてしまったのだろうか。同性愛者である自覚も、ワ
ンナイトラブをするほど軽い男である自覚もないのだけれど、酔った勢いというのはなにを
しでかすかわからない。
「でも俺、服着てる……」
俺の格好はゆうべの着の身着のままだ。脱いで着直した、ってわけでもなさそうだ。
ますます昨夜なにがあったのかわからず混乱していると、スヤスヤと聞こえていた寝息が
途切れた。そしてドキリとする俺の目の前で、美形男が「んー……」と眩しそうに顔をしか
めてから、大きな欠伸をする。
目覚めた美形男は、のったりと上半身を起こした。そして顔にかかっていた髪を手で掻き
あげてから、その双眸を開く。切れ長の目の中央に位置する瞳は、空のように青かった。
「おはよう、カナタ」
うーんと伸びをしてから、男はそう言った。流暢な日本語だ。