「マーク、ありがとうな」
「そういうことは勝ってから言えよ」
マークが形の良い口の端を上げてニヤリと笑ったので、俺もマークにニヤッと笑い返した。
◇ ◇ ◇
学園祭当日、空は雲一つなく澄み渡っていた。
俺は気合を入れて大会用の木剣を手にした。大会では大怪我をしないように木剣を使い、対魔術用の怪我防止防護ブレスレットを身に付ける。
普段からマークと刃を潰した鉄の剣を使用して練習してきたこともあり、それは随分軽く感じてすんなりと手に馴染んだ。
貼り出されたトーナメント表を見ると、俺の二回戦の対戦相手がフレッドだった。
フレッドと戦う前に自分が負けてしまうのではという心配はどうやら杞憂に終わりそうだ。なぜなら、俺の一回戦目の相手は同じ魔術科の学生で、最初から戦う気が限りなくゼロに近いやつだったから。
まぁ、俺も去年はこんな試合一刻も早く負けてお役御免被りたいと思っていたから、その気持ちはわからなくもない。
「ケビン、頑張れよ!」
「自信持てよ。いつもの調子だ」
「ケビンさま、怪我しないで下さいね」
一回戦目で運悪く騎士科の学生と当たり負けてしまったロベルトや次の試合までの待ち時間のマーク、スザンヌも応援に来てくれた。対するフレッドの方は黄色い声が多い。
「フレッドさま、頑張って!!」
「格好良く決めちゃってー!」
「フレッドさま、素適なところ見せて下さい!」
「任せてくれ。あいつを野良犬みたいに地べたに這わせてみせるよ」
「「きゃー、素適!!」」
フレッドを取り囲んでいるのはフレッド親衛隊の女子達。ざっと数えると十三人いた。
俺の知らぬ間に見る目のない女が倍近くに増えたのかと驚愕したが、よくよく見ると学年の違う女子も多かった。
「一瞬で終わらせてやるからな」
闘技場で俺の前に立ったフレッドはやっぱり馬鹿にしたように俺を一瞥した。
初めの合図があってから最初の一撃、流石にフレッドは速かった。それなりの距離があったはずなのに、一瞬で間合いを詰めて容赦なく俺の脇腹めがけて木剣を撃ち込んでくる。
「くっ!」
咄嗟に受け止めたが打撃が重い。
「そういうことは勝ってから言えよ」
マークが形の良い口の端を上げてニヤリと笑ったので、俺もマークにニヤッと笑い返した。
◇ ◇ ◇
学園祭当日、空は雲一つなく澄み渡っていた。
俺は気合を入れて大会用の木剣を手にした。大会では大怪我をしないように木剣を使い、対魔術用の怪我防止防護ブレスレットを身に付ける。
普段からマークと刃を潰した鉄の剣を使用して練習してきたこともあり、それは随分軽く感じてすんなりと手に馴染んだ。
貼り出されたトーナメント表を見ると、俺の二回戦の対戦相手がフレッドだった。
フレッドと戦う前に自分が負けてしまうのではという心配はどうやら杞憂に終わりそうだ。なぜなら、俺の一回戦目の相手は同じ魔術科の学生で、最初から戦う気が限りなくゼロに近いやつだったから。
まぁ、俺も去年はこんな試合一刻も早く負けてお役御免被りたいと思っていたから、その気持ちはわからなくもない。
「ケビン、頑張れよ!」
「自信持てよ。いつもの調子だ」
「ケビンさま、怪我しないで下さいね」
一回戦目で運悪く騎士科の学生と当たり負けてしまったロベルトや次の試合までの待ち時間のマーク、スザンヌも応援に来てくれた。対するフレッドの方は黄色い声が多い。
「フレッドさま、頑張って!!」
「格好良く決めちゃってー!」
「フレッドさま、素適なところ見せて下さい!」
「任せてくれ。あいつを野良犬みたいに地べたに這わせてみせるよ」
「「きゃー、素適!!」」
フレッドを取り囲んでいるのはフレッド親衛隊の女子達。ざっと数えると十三人いた。
俺の知らぬ間に見る目のない女が倍近くに増えたのかと驚愕したが、よくよく見ると学年の違う女子も多かった。
「一瞬で終わらせてやるからな」
闘技場で俺の前に立ったフレッドはやっぱり馬鹿にしたように俺を一瞥した。
初めの合図があってから最初の一撃、流石にフレッドは速かった。それなりの距離があったはずなのに、一瞬で間合いを詰めて容赦なく俺の脇腹めがけて木剣を撃ち込んでくる。
「くっ!」
咄嗟に受け止めたが打撃が重い。



