「勘違いじゃありません! 私、ケビンさまがいいんです。それに、馴れ馴れしく私を呼び捨てにしないで下さいませ」
スザンヌが一歩前に出て更に言い返そうとしたので、俺は慌てて引き止めた。
フレッドはスザンヌが言い返してくるとは思っていなかったようで目を見開いた。そして、忌々しげに俺を睨みつけ、すれ違い際にボソリと呟いた。
「お前、最近いちいち目障りなんだよ。魔術科なら学園祭の武道会、でるよな? 大恥かかせてやるから覚悟しとけよ」
「それはこっちの台詞だ」
売り言葉に買い言葉で俺はフレッドを睨み返した。
フレッドが去った後、野次馬をしていた学生達はいそいそと次の授業へと向かい、その場には俺とスザンヌだけが残された。俺は暫しの沈黙の後、少しの勇気を振り絞ってスザンヌに向き合った。
女の子をパートナーに誘うなんて俺にはハードルが高すぎて、去年はロベルトと一緒に校舎裏のベンチで暇潰ししていた。
そもそも舞踏会に出るという発想がなかったから今年も気にしていなかったけど、きっとスザンヌは俺に誘われるのをずっと待っていたんだ。
「スザンヌ。学園祭の最後の舞踏会だけど……よかったら俺のパートナーをしてくれないかな?」
多分断られないと思ってはいても、やっぱり緊張して心臓はバクバクした。
スザンヌは目を瞠ってから、いつものように頬を少しだけバラ色に染めて満面に笑みを浮かべた。
「はい、喜んで。私もケビンさまとご一緒したいです」
スザンヌがあまりにも嬉しそうに微笑むものだから、俺は何でもっと早く誘わなかったんだろうと、自分の恋愛偏差値の低さを少し恨めしく思ったよ。
◇ ◇ ◇
放課後の訓練場。
俺はわき腹に鋭い打撃を受けて体ごと吹き飛んだ。
「いってぇ……」
「ケビン、大丈夫か? 見せてみろ」
すぐにロベルトがやってきて治癒魔法を掛けてくれたので、痛みは軽くなる。俺は腹を擦ると奥歯を噛み締めた。
俺は今、学園祭の武道会でフレッドに勝つために訓練している。
フレッドが言っていた学園祭の武道会というのは、二ヶ月後に行われる学園祭でのメインイベントの一つだ。
学年別に一対一の対決を行い、その学年で一番強いやつを決める。最後にその各学年の優勝者が総当たりで戦い、最優秀選手を決める。
スザンヌが一歩前に出て更に言い返そうとしたので、俺は慌てて引き止めた。
フレッドはスザンヌが言い返してくるとは思っていなかったようで目を見開いた。そして、忌々しげに俺を睨みつけ、すれ違い際にボソリと呟いた。
「お前、最近いちいち目障りなんだよ。魔術科なら学園祭の武道会、でるよな? 大恥かかせてやるから覚悟しとけよ」
「それはこっちの台詞だ」
売り言葉に買い言葉で俺はフレッドを睨み返した。
フレッドが去った後、野次馬をしていた学生達はいそいそと次の授業へと向かい、その場には俺とスザンヌだけが残された。俺は暫しの沈黙の後、少しの勇気を振り絞ってスザンヌに向き合った。
女の子をパートナーに誘うなんて俺にはハードルが高すぎて、去年はロベルトと一緒に校舎裏のベンチで暇潰ししていた。
そもそも舞踏会に出るという発想がなかったから今年も気にしていなかったけど、きっとスザンヌは俺に誘われるのをずっと待っていたんだ。
「スザンヌ。学園祭の最後の舞踏会だけど……よかったら俺のパートナーをしてくれないかな?」
多分断られないと思ってはいても、やっぱり緊張して心臓はバクバクした。
スザンヌは目を瞠ってから、いつものように頬を少しだけバラ色に染めて満面に笑みを浮かべた。
「はい、喜んで。私もケビンさまとご一緒したいです」
スザンヌがあまりにも嬉しそうに微笑むものだから、俺は何でもっと早く誘わなかったんだろうと、自分の恋愛偏差値の低さを少し恨めしく思ったよ。
◇ ◇ ◇
放課後の訓練場。
俺はわき腹に鋭い打撃を受けて体ごと吹き飛んだ。
「いってぇ……」
「ケビン、大丈夫か? 見せてみろ」
すぐにロベルトがやってきて治癒魔法を掛けてくれたので、痛みは軽くなる。俺は腹を擦ると奥歯を噛み締めた。
俺は今、学園祭の武道会でフレッドに勝つために訓練している。
フレッドが言っていた学園祭の武道会というのは、二ヶ月後に行われる学園祭でのメインイベントの一つだ。
学年別に一対一の対決を行い、その学年で一番強いやつを決める。最後にその各学年の優勝者が総当たりで戦い、最優秀選手を決める。



