柄にもなく、朝から少しだけ運動して汗を流し、風呂に入る。金縁瓶底眼鏡はお洒落なものに変えた。制服は皺を伸ばして、常に清潔感があるように……。
スザンヌと付き合い始め、俺は彼女に愛想を尽かされないように、そして彼女と少しでも釣り合うようにと自分磨きを始めた。
それぞれはほんの些細な事だけど、全部が積み重なるとそれなりの変化をもたらす。自分で言うのもなんだが、中の下だった見た目は中の中くらいには到達したんじゃないだろうか。
それと同時に、いつも一緒に居るロベルトまで俺に触発されて自分磨きを始めた。
ロベルトは小柄ながら元々の綺麗な顔立ちをしていたから、友人の俺から見てもかなり垢抜けたと思う。
今までは誰も声を掛けてこなかった女子のクラスメートも、時々俺達にも声を掛けてくれるようになった。
「わぁ、これ綺麗だね」
「これはね、北部のシチル地方で産出された魔法石なんだ。氷属性の魔力を貯めておくのに適してる」
ロベルトはスザンヌの友人のイルゼに自慢の石を見せていた。
イルゼは色とりどりの魔法石を手のひらに載せて興味深げに眺めている。ロベルトは今まで見向きもされなかった自分の趣味に興味を持つ女の子が現れて嬉しそうだ。
こういう時、趣味が魔法石集めだといいよなって思う。
俺が学園に自慢の魔虫を詰め込んだ虫かごを持ってきたら、学園中の女子に総スカンを食らわされることは間違いない。
「調子に乗ってんじゃねーよ、石ころオタクと虫オタクのくせに」
イルゼが席に戻ると、チッと舌打ちする音がした。
隣を見るとフレッドが射殺しそうな目で俺を睨みつけていた。
常に見下してきた俺が垢抜けてきて、しかも美少女のスザンヌ達と仲良くしているのが気に食わないんだろうな。
相手にしないに限る思い、俺はフレッドから目を逸らすと持っていた虫の飼育方法の研究誌に視線を落とした。
魔術科の専門授業である実技魔法の授業は、万が一のために結界が張られた校舎の外れで行われる。
そこに向かう途中、俺は見慣れた人影を階段の片隅に発見した。フレッドだ。
フレッドは両手を壁に当てて誰か女の子を囲い込むような格好をしていた。
スザンヌと付き合い始め、俺は彼女に愛想を尽かされないように、そして彼女と少しでも釣り合うようにと自分磨きを始めた。
それぞれはほんの些細な事だけど、全部が積み重なるとそれなりの変化をもたらす。自分で言うのもなんだが、中の下だった見た目は中の中くらいには到達したんじゃないだろうか。
それと同時に、いつも一緒に居るロベルトまで俺に触発されて自分磨きを始めた。
ロベルトは小柄ながら元々の綺麗な顔立ちをしていたから、友人の俺から見てもかなり垢抜けたと思う。
今までは誰も声を掛けてこなかった女子のクラスメートも、時々俺達にも声を掛けてくれるようになった。
「わぁ、これ綺麗だね」
「これはね、北部のシチル地方で産出された魔法石なんだ。氷属性の魔力を貯めておくのに適してる」
ロベルトはスザンヌの友人のイルゼに自慢の石を見せていた。
イルゼは色とりどりの魔法石を手のひらに載せて興味深げに眺めている。ロベルトは今まで見向きもされなかった自分の趣味に興味を持つ女の子が現れて嬉しそうだ。
こういう時、趣味が魔法石集めだといいよなって思う。
俺が学園に自慢の魔虫を詰め込んだ虫かごを持ってきたら、学園中の女子に総スカンを食らわされることは間違いない。
「調子に乗ってんじゃねーよ、石ころオタクと虫オタクのくせに」
イルゼが席に戻ると、チッと舌打ちする音がした。
隣を見るとフレッドが射殺しそうな目で俺を睨みつけていた。
常に見下してきた俺が垢抜けてきて、しかも美少女のスザンヌ達と仲良くしているのが気に食わないんだろうな。
相手にしないに限る思い、俺はフレッドから目を逸らすと持っていた虫の飼育方法の研究誌に視線を落とした。
魔術科の専門授業である実技魔法の授業は、万が一のために結界が張られた校舎の外れで行われる。
そこに向かう途中、俺は見慣れた人影を階段の片隅に発見した。フレッドだ。
フレッドは両手を壁に当てて誰か女の子を囲い込むような格好をしていた。



