「よう、涼介。こんなところにいたのか」

そういうと、山下は俺と涼介の座るテーブルに腰を下ろす。

「さっきSNSでさ、伝説のプレイヤーが現れたって出てたから」

山下は親しげに涼介に話しかける。

涼介は、あそこのゲーセンでは、そこそこ名前の知られた人物だったらしい。

ゲーム大会で、いつも無双して、上位にいたんだって。

「最終日、じゃないけど、やっぱなくなる前に、一度くらいは顔出しとかないとな」

涼介は、じっと黙ったままだった。

俺は、今は涼介と二人で話しがしたい。

山下、お前は、邪魔だ。

「おい」

山下を追い払おうとした俺を、涼介はとどめた。

「山下さんは、俺の幼なじみで、小学校からずっと一緒なんだ」

「こいつ、今でこそこんなんだけど、中学くらいまでは酷かったんだぜ、なぁ!」

そう言うと、山下は豪快に笑った。

「弟が死んでからさ、大変だったんだ。病死とか言ってたけど、ずっとコイツの母ちゃんは、殺されたとか叫んでてさ、自殺説もあったんだよな」

山下は、皿に残っていたポテトを口にした。

「で、頭おかしくなった母ちゃんが暴れるもんだから、家にいられなくなってさぁ。ここが建て変わって、きれいになる前のスーパーでさ、よく俺たちとこうやって、だべってたんだ」

山下は、そのにやけた顔で涼介を見る。

「『お前が殺ったんだ!』とかって、包丁持って追いかけられたりしてさぁ、色んな意味で、地元じゃ超有名人なんだぜ、コイツ」

山下は笑った。

俺はすっかり冷めて、不味くなった芋を口に運ぶ。