「で、あの人間のことは、どうなさるのですか?」
「俺も女になってみるか」
俺は姿を変えた。
明るい髪色で、肩までの髪をふんわりと内側に巻く。
こうすれば、涼介にも見破られまい。
「えぇえぇぇ、大丈夫ですかねぇぇ???」
問題は、アズラーイールの授けた新たな祝福によって、どれだけの心眼を得たかだ。
「お前といると、仲間だとバレる。俺に話しかけるな」
「はいぃぃ。では、お待ちいたしておりますぅうぅぅ」
スヱは隠しきれていない、耳まで裂けた口でにやりと笑ってから、姿を消した。
俺は自分の膨らんだ胸を見てから、もう少しサイズアップさせる。
さて、先日俺の仕入れた人間界の知識では、このあと廊下の角でぶつかるか、飲み物でもぶっかけるか……。
金もダメ。
人望も名誉にも、才能にも興味がないとなれば、残るは涼介がスヱに見せたように、色仕掛けでいくしかない。
俺は今から、涼介を騙しに行く。
見た目も変えた。
俺は今から、本当に涼介を騙しに行くんだ。
ポケットから、紙に書かれた手紙を取り出す。
「あ、あの……、樋口くん?」
「なにやってんだ、お前」
教室の入り口で、俺の前に立ちふさがったのは、アズラーイールだった。
似合いもしない、体にピッタリとしたスーツを着ている。
「お、お前こそ、なにやってんだよ!」
アズラーイールはため息をつくと、前髪をかき上げた。
「ちんけなワザだな。そんなことで、涼介の目をごまかせるとでも思っているのか」
「うるせぇ、どけ!」
教室の奥に座る、涼介と目が合った。
「……え? 獅子丸?」
「獅子丸じゃないです。鷲尾あすかと言います! 私と、つき合ってください!」
そう言って差し出した手紙を、涼介はあっさり受け取った。
「ねぇ、獅子丸」
「だ、だから、獅子丸じゃないって」
涼介は、一呼吸おく。
「お願いがあるんだ」
その言葉に、俺は顔を上げた。
「今晩さ、うちに来ない?」
「は?」
目が合う。
俺はなんと答えていいのか、分からなくなる。
「俺も女になってみるか」
俺は姿を変えた。
明るい髪色で、肩までの髪をふんわりと内側に巻く。
こうすれば、涼介にも見破られまい。
「えぇえぇぇ、大丈夫ですかねぇぇ???」
問題は、アズラーイールの授けた新たな祝福によって、どれだけの心眼を得たかだ。
「お前といると、仲間だとバレる。俺に話しかけるな」
「はいぃぃ。では、お待ちいたしておりますぅうぅぅ」
スヱは隠しきれていない、耳まで裂けた口でにやりと笑ってから、姿を消した。
俺は自分の膨らんだ胸を見てから、もう少しサイズアップさせる。
さて、先日俺の仕入れた人間界の知識では、このあと廊下の角でぶつかるか、飲み物でもぶっかけるか……。
金もダメ。
人望も名誉にも、才能にも興味がないとなれば、残るは涼介がスヱに見せたように、色仕掛けでいくしかない。
俺は今から、涼介を騙しに行く。
見た目も変えた。
俺は今から、本当に涼介を騙しに行くんだ。
ポケットから、紙に書かれた手紙を取り出す。
「あ、あの……、樋口くん?」
「なにやってんだ、お前」
教室の入り口で、俺の前に立ちふさがったのは、アズラーイールだった。
似合いもしない、体にピッタリとしたスーツを着ている。
「お、お前こそ、なにやってんだよ!」
アズラーイールはため息をつくと、前髪をかき上げた。
「ちんけなワザだな。そんなことで、涼介の目をごまかせるとでも思っているのか」
「うるせぇ、どけ!」
教室の奥に座る、涼介と目が合った。
「……え? 獅子丸?」
「獅子丸じゃないです。鷲尾あすかと言います! 私と、つき合ってください!」
そう言って差し出した手紙を、涼介はあっさり受け取った。
「ねぇ、獅子丸」
「だ、だから、獅子丸じゃないって」
涼介は、一呼吸おく。
「お願いがあるんだ」
その言葉に、俺は顔を上げた。
「今晩さ、うちに来ない?」
「は?」
目が合う。
俺はなんと答えていいのか、分からなくなる。