「なんだよ。それともやっぱり、俺の魂とやらが本当の目的で、騙そうとしているのか?」

俺は激しく、頭を左右に振る。

「だったら、それでいいじゃないか」

「ちょ、待てって」

手を伸ばし、涼介の肩に触れようとした俺の手は、その肩をすり抜けた。

くそ。

手っ取り早く、さっきのイノシシみたいに……。

俺はため息をついて、掲げていた手を下ろした。

先を行く涼介の背中を見つめる。

友達というのが、俺にはまだよく分からない。

だから、反論できないんだ。

魔界の本には、人間と友達になれば、すぐに契約はとれると書いてあった。

涼介がもうすでに、俺を友達と認めているのなら、そう焦ることもないだろう。

ゆっくり行こう。

それをきっと、涼介も望んでいる。

俺には契約はなくても、涼介の願いや望みは、叶えてやることが出来る。

こうやって、守ってやることだって出来る。

涼介が俺のことを、本当にそう思ってくれているのなら、それでもいいんじゃないかと、素直にそう思えた。