4クォーターの試合が終わって、置いてあったタオルに、涼介は手を伸ばした。
どうするのかと思ったら、俺に投げてよこす。
「何をするのかと思った」
「は?」
「俺のタオルで」
魔界なら、それは盗まれることを意味する。
だけど、ここでは違う。
「なにって、渡す以外に、なにすんだよ」
涼介は笑って、俺のむき出しの肩に触れた。
俺は涼介が、そこに触れた意味を考える。
昼休みには、なぜかそのバスケ仲間数人と一緒になって、食事をした。
俺はサランの持たせてくれた、魔法の箱を取り出す。
そこからは何でも、望み通り出来たての食事が出てきた。
いつもなら、すぐに自分の食べたい魔界のものを取り出して食べるのに、今日はなぜだか、それが出来なかった。
誘ってきた連中の弁当の中身を、こっそり見る。
人間の食べ物に興味はない。
そんな下等で下劣で不味いものを食うぐらいなら、何も口にしない方がましだ。
ここへ来てからも、人間界の食べ物など、ほとんど口にしていない。
涼介たちが食べる弁当を見ても、特にそそられるようなものは、何もない。
だけど……。
俺は、人間界の一般的な弁当を念じた。
蓋を開くと、炊いた白米に鳥の唐揚げがのっている。
俺は黙ってそれを口にした。
そこにいた人間どもは、特に何も言わなかった。
掃除の後で、花壇に水やりをするというから、ついて行く。
涼介は、知らない女としゃべり始めた。
にこにこと笑顔で機嫌良く話しをし、手を振って別れるから、あの女どもに気があるのかと思ったら、そうでもないらしい。
「お前って、本当に考え方も悪魔なんだね」
二人きりにして、好きなようにさせてやろうかと言ったら、あっさり断られた。
そういうつもりはないらしい。
ここの人間どもは、いつも笑っているのが気持ち悪いと、そう思っているのを、俺は涼介に言えなかった。
涼介は、持っていたホースの先を、勢いよく空に向けた。
細かく飛び散った水滴は、霧雨のようにふりかかる。
一緒になってそこで濡れた連中は、楽しそうに笑った。
俺は濡れた頬を手でぬぐう。
「水に濡らされて、何がそんなに面白いんだ」
そう言ったら涼介は、どこからか出してきたタオルで、俺の頭をガシガシと拭いた。
「自分が面白いと思ったら、それは面白いんだよ」
涼介は、意外と人気者だった。
俺の助けがなくても、そこそこクラスに話せる人間がいた。
その仲間たちと、どうやって友達になったんだろう。
「だけど、それが本当に面白くなかったら、どうするんだ」
「だったら、自分で楽しくするんだ。そうすれば、楽しくなる」
どうするのかと思ったら、俺に投げてよこす。
「何をするのかと思った」
「は?」
「俺のタオルで」
魔界なら、それは盗まれることを意味する。
だけど、ここでは違う。
「なにって、渡す以外に、なにすんだよ」
涼介は笑って、俺のむき出しの肩に触れた。
俺は涼介が、そこに触れた意味を考える。
昼休みには、なぜかそのバスケ仲間数人と一緒になって、食事をした。
俺はサランの持たせてくれた、魔法の箱を取り出す。
そこからは何でも、望み通り出来たての食事が出てきた。
いつもなら、すぐに自分の食べたい魔界のものを取り出して食べるのに、今日はなぜだか、それが出来なかった。
誘ってきた連中の弁当の中身を、こっそり見る。
人間の食べ物に興味はない。
そんな下等で下劣で不味いものを食うぐらいなら、何も口にしない方がましだ。
ここへ来てからも、人間界の食べ物など、ほとんど口にしていない。
涼介たちが食べる弁当を見ても、特にそそられるようなものは、何もない。
だけど……。
俺は、人間界の一般的な弁当を念じた。
蓋を開くと、炊いた白米に鳥の唐揚げがのっている。
俺は黙ってそれを口にした。
そこにいた人間どもは、特に何も言わなかった。
掃除の後で、花壇に水やりをするというから、ついて行く。
涼介は、知らない女としゃべり始めた。
にこにこと笑顔で機嫌良く話しをし、手を振って別れるから、あの女どもに気があるのかと思ったら、そうでもないらしい。
「お前って、本当に考え方も悪魔なんだね」
二人きりにして、好きなようにさせてやろうかと言ったら、あっさり断られた。
そういうつもりはないらしい。
ここの人間どもは、いつも笑っているのが気持ち悪いと、そう思っているのを、俺は涼介に言えなかった。
涼介は、持っていたホースの先を、勢いよく空に向けた。
細かく飛び散った水滴は、霧雨のようにふりかかる。
一緒になってそこで濡れた連中は、楽しそうに笑った。
俺は濡れた頬を手でぬぐう。
「水に濡らされて、何がそんなに面白いんだ」
そう言ったら涼介は、どこからか出してきたタオルで、俺の頭をガシガシと拭いた。
「自分が面白いと思ったら、それは面白いんだよ」
涼介は、意外と人気者だった。
俺の助けがなくても、そこそこクラスに話せる人間がいた。
その仲間たちと、どうやって友達になったんだろう。
「だけど、それが本当に面白くなかったら、どうするんだ」
「だったら、自分で楽しくするんだ。そうすれば、楽しくなる」