「えぇぇつっっ~! あたし、さっそく消されるんですかぁあぁぁ! こないだご挨拶したときに、役に立てるって、言ってくれたじゃないですかぁぁあぁぁ!」

女の足元が崩れ、両膝をつく。

ここまで来るのが精一杯だったのか、さらに片手を床についた。

「助けてくださいよぉぉおぉぉ! その、その人間のお坊ちゃんの光がまぶしすぎて、あたしにはもう無理なんですぅうぅぅっ!」

涼介を振り返った。

同時に目があう。

どういうことだ。

「うるさい。お前など、いらぬ」

この地縛霊に、もう一度手をかざした。

吹き飛ばそうとした瞬間、かざした俺の腕に手を触れたのは、涼介の方だった。

「待って。話しが聞きたい。助けてやれよ」

「それがお前の望みか?」

「俺たちは、友達、なんだろ?」

「え、そうなの?」

「違うのか」

その言葉に、俺は掲げていた手を下ろす。

涼介は、ほっとしたような顔をした。

その顔を見た瞬間、俺の体から、何かが抜けた。

「だからぁぁあぁあ! あたしには、もう無理ぃぃいぃっっ~!」

泥と肉片と骨が、溶けたように床一面に広がる。

俺は舌打ちをしてから、どうしようかと考えた。

そうだ。鼻クソで十分だろ。

俺はその場でほじくったそれを、低級妖魔に向かって投げてやる。

「あぁ! ありがとうございますぅう! だけどちょっと、たりませぇ~ん!」

俺の体の一部を受け取った妖魔は、溶けた泥の中から、人間の女の上半身だけを作りだした。

荒い呼吸を整える。

「もうちょっと、何とかなりませんかねぇえぇぇ!」

唾でも吐いてやろうかと思ったが、さっきの鼻クソを批難がましい目で見ている涼介が横にいるせいで、俺はもう一度考え始めた。

意外と面倒くさい。