*** さらに、遡ること丸一日。 「いらっしゃいませ」 その声に答えるように、女性は軽い会釈をしてドアから手を離した。 コツコツとヒールの音を立てながら、女性はカウンターの前を通り、まっすぐ奥へと進んでいく。 ゆっくりとした歩みに従って、ふわりふわりと微かながら甘い香りが漂った。