「素敵な薔薇ですね。見せてもらってもいいですか?」
年かさの警察官が、ふいにそんなことを言った。
彼が指をさすのは店の奥の壁に掛けてある、薔薇が飾られている額縁である。
「どうぞ」
亮一が頷くと、ふたりの警察官はキョロキョロと店内を見渡すようにしながら店の最奥へ進んだ。
そして額縁の前に行くと、屈んだりしながら見る角度を変えて、繁々と中に飾られている深紅の薔薇を見ている。
その様子はとても熱心で、まるで事件の痕跡でも探っているかのようにもみえる。
「この薔薇は本物ですか?」
「ブリザーブドフラワーというらしいです。本物といえば本物なのでしょうが、加工された花ですね」
「よく出来てるもんですなぁ。まるで生きている花みたいだ」
そう感心した年かさの警察官はポケットから何かを取り出しながら戻ってきて、「実は」と、話を切り出した。
「倒れていた男性が昨日の夕方、通りの先にある花屋で薔薇の花束を買ったらしいんですが、その花束を持っていなかったのですよ」
差し出された写真を見ると写っているのは、十本くらいだろうか、
深紅の薔薇だけを包み込んだ花束である。
「昨日の夕方から深夜にかけて、こんな花束を持った人を見かけてはいないですか?」
亮一は首を傾げ、「何しろ店の中にいますのでね」と、曖昧に答える。
年かさの警察官が、ふいにそんなことを言った。
彼が指をさすのは店の奥の壁に掛けてある、薔薇が飾られている額縁である。
「どうぞ」
亮一が頷くと、ふたりの警察官はキョロキョロと店内を見渡すようにしながら店の最奥へ進んだ。
そして額縁の前に行くと、屈んだりしながら見る角度を変えて、繁々と中に飾られている深紅の薔薇を見ている。
その様子はとても熱心で、まるで事件の痕跡でも探っているかのようにもみえる。
「この薔薇は本物ですか?」
「ブリザーブドフラワーというらしいです。本物といえば本物なのでしょうが、加工された花ですね」
「よく出来てるもんですなぁ。まるで生きている花みたいだ」
そう感心した年かさの警察官はポケットから何かを取り出しながら戻ってきて、「実は」と、話を切り出した。
「倒れていた男性が昨日の夕方、通りの先にある花屋で薔薇の花束を買ったらしいんですが、その花束を持っていなかったのですよ」
差し出された写真を見ると写っているのは、十本くらいだろうか、
深紅の薔薇だけを包み込んだ花束である。
「昨日の夕方から深夜にかけて、こんな花束を持った人を見かけてはいないですか?」
亮一は首を傾げ、「何しろ店の中にいますのでね」と、曖昧に答える。