【亮一、久しぶり。
 この手紙を受け取ったということは、亮が二十歳になったのね。
 亮には二十歳になったら『執事のシャルール』を訪ねて 右崎亮一というマスターにこの手紙を渡すように遺言したの。
 亮はあなたと離婚した時にお腹の中にいた、あなたの子よ。
 早いうちに離婚届を出したお陰で、自動的にあなたの戸籍に入ることはなかったけど、あなたの子。
 嘘だと思うならDNA鑑定してみるといいわ。
 余命ひと月と知ってこの手紙を書きました。
 私が死んだら、亮一は天涯孤独になってしまったの。なにかあったら、どうか力になってあげて。
 お願いします。

 さようなら亮一
 小夜】

同封されいた写真が二枚。
生まれたばかりのトオルを抱いている小夜の写真、病床にいる小夜とトオルのだった。