自分もまだ二十歳で彼とそれほど変わらない歳なのに、高校生というだけでトオルには随分と子供にみえるのかもしれない。

ローズさんも少年も、かなりの常連客だ。
週三回勤務のトオルには正確なことはわからないが、亮一の話によると彼らはほぼ毎日来てここで食事をするという。

トオルがこの店で働き始めた頃は、不思議に思っていた。

お客さまに対して失礼な話だが、いくら気に入ったとはいえ夕食だけで月五万円近いお金をこの店に落とすのは、どうなんだろう?
ここから徒歩圏内でも数えきれないくらい飲食店はあるというのに、気分を変えたい時はないのか。そんな風に彼らに対して首を傾げていたのである。

でもそれは以前の話。半年ここで働いた今は、そういう疑問を持つことはない。
トオルにとって彼らはすでに、店の一部であった。

初見の客などに時折感じる違和感のようなものが彼らには全くないことに、ある時ふと気づいた。

店と同化し同じ色の空気を纏っている彼らに、この店を訪れる理由を探る必要ないのだ。
いて当然の大切な客。


薔薇と少年――。
警察官が見せた二枚の写真。

よく似た薔薇の花束を、ローズさんが昨日持っていたのは偶然なのだろうか

もう一枚の写真に写った制服は、少年が着ているものと同じ制服であるのも偶然なのだろうか……。