アマフレのプライベートはマネジメント担当者がかなり厳しく管理しており、下心のある社員たちからガードしている。しかし蔵寄さんともなれば、そんなもの、ひょいと超えてみせるのだ。
「その連絡先って、最近のですか?」
「最近のだよ、真栄さんとすごく仲がよくて、ふたりでアマナツインズなんて呼ばれてた子がいてね、その子がこの間、アマ東が開催したイベントを見に来てたんだ。現役のアマフレさんのステージングを見に」
「そこで連絡先の交換を?」
「というか、更新だね。現役時代から知ってたんだけど、番号変えたからって……ねえ、その目、やめない? 僕べつに、やましいことなにもないよ」
私は「すみません」と慌てて顔をそむけた。べつに非難がましいことなんてまったく考えていない。ただ、人はかっこいいというだけで、こんなにもいろいろなものを手にするのかと思い知らされ、ちょっと引いた。
「僕のほうから聞いたわけでもないよ。イベントとかで一緒になると、彼女らが教えてくれるんだ。仕事上必要なこともあるし」
「そうですか」
「そういう反応、柊木みたいだからやめて!」
ドキッとした。なぜドキッとしたのかは、わからない。
女たらし扱いされて心外なのか、蔵寄さんは珍しくふくれっつらで、「で、その連絡先がなに?」と胸ポケットから携帯を取り出す。
「……真栄さん、じつは今、行方不明なんです。自分から姿を消していて」
「えっ」
「全然連絡が取れないので、澤口さんがすごく心配していて。せめてどこにいるか知りたいんです。そのお友だちが、なにかご存知だったらなと……」
蔵寄さんは口元に手をあて、少し考えるそぶりを見せた。
「わかった。なにか、知られちゃいけない事情があるんでしょ? それとなく、向こうがなにか知ってるなら勘づく、くらいの感じで聞いてみるよ」
さすが調査員というしかない。
「お願いします」
「定時後でもいいかな。このあと一件打ちあわせが入ってて」
「はい」
宣言どおり、彼は定時を過ぎるとすぐに電話してくれたらしい。携帯を手に持ったまま、急ぎ足で再び宣伝課にやってきた。
「居所、知ってるって」
「えっ!」
「本人から連絡させてもいいって。ただし……」
そこでちょっと困ったような、戸惑ったような顔で声をひそめる。
「『柊木さんと話せるなら』って」
「その連絡先って、最近のですか?」
「最近のだよ、真栄さんとすごく仲がよくて、ふたりでアマナツインズなんて呼ばれてた子がいてね、その子がこの間、アマ東が開催したイベントを見に来てたんだ。現役のアマフレさんのステージングを見に」
「そこで連絡先の交換を?」
「というか、更新だね。現役時代から知ってたんだけど、番号変えたからって……ねえ、その目、やめない? 僕べつに、やましいことなにもないよ」
私は「すみません」と慌てて顔をそむけた。べつに非難がましいことなんてまったく考えていない。ただ、人はかっこいいというだけで、こんなにもいろいろなものを手にするのかと思い知らされ、ちょっと引いた。
「僕のほうから聞いたわけでもないよ。イベントとかで一緒になると、彼女らが教えてくれるんだ。仕事上必要なこともあるし」
「そうですか」
「そういう反応、柊木みたいだからやめて!」
ドキッとした。なぜドキッとしたのかは、わからない。
女たらし扱いされて心外なのか、蔵寄さんは珍しくふくれっつらで、「で、その連絡先がなに?」と胸ポケットから携帯を取り出す。
「……真栄さん、じつは今、行方不明なんです。自分から姿を消していて」
「えっ」
「全然連絡が取れないので、澤口さんがすごく心配していて。せめてどこにいるか知りたいんです。そのお友だちが、なにかご存知だったらなと……」
蔵寄さんは口元に手をあて、少し考えるそぶりを見せた。
「わかった。なにか、知られちゃいけない事情があるんでしょ? それとなく、向こうがなにか知ってるなら勘づく、くらいの感じで聞いてみるよ」
さすが調査員というしかない。
「お願いします」
「定時後でもいいかな。このあと一件打ちあわせが入ってて」
「はい」
宣言どおり、彼は定時を過ぎるとすぐに電話してくれたらしい。携帯を手に持ったまま、急ぎ足で再び宣伝課にやってきた。
「居所、知ってるって」
「えっ!」
「本人から連絡させてもいいって。ただし……」
そこでちょっと困ったような、戸惑ったような顔で声をひそめる。
「『柊木さんと話せるなら』って」