アマナフレンズはアマナブランドのPRを仕事とする専属の女性スタッフだ。イベントコンパニオンというとイメージしやすいかもしれない。ちなみにその昔はアマナグッドレディスという、今なら絶対に許されないだろう名前だった。
 五~六名から成り立っていて、普段は本社のショールームで接客業務をしている。アマナのイベントでMCやスタッフをしたりもするし、やっぱり一番大きな仕事はモーターショーだろう。ヘッドセットをつけてそろいのコスチュームを身にまとい、ブースのステージでプレゼンテーションをしたりしている、あれがアマナフレンズだ。個別にファンもついていると聞く。
 私は興味本位を装って尋ねた。
「ああいう方々って、卒業後はどうしてるんですか?」
「いろいろだけど、やっぱり容姿やスキルを活かして接客の仕事に就く子が多いよ。ほら銀座なんかに電機メーカーのショールームがあるじゃない。ああいうところのスタッフとか、あとは企業の受付とか」
「真栄さんは、どんな進路でした?」
「広告代理店の受付になったはず。お嬢さま育ちでおっとりしてるんだけど、堅実なところもある子でさ、長くできる仕事がいいって言って」
 予想していた以上にはっきりした答えが返ってきて、驚いた。こんなによくおぼえているものなのか。千奈美さんが特別なのか、みんなこうなのか。
 ふくらむ期待をおさえつつ、一番聞きたかったことを聞いてみる。
「今でもみなさん、連絡取ってたりするんですか?」
「いや、前に偶然あの代のアマフレに会ったんだけど、卒業と同時にグループメッセージも消滅したって。わりとドライなんだよね、そういうとこ」

 終業後、私は意気消沈して、地下の第二総務部の部屋を訪れた。
 はじめて自分の社員証で開錠する機会に恵まれたのだけれど、そのことに感動する余裕もない。
「私、調査員に向いてないかもしれません……。今でも真栄さんと親しくしてる人を見つけたかったんですけれど……」
 だいたい事情を察したらしい佐行さんが、肩を叩いてなぐさめてくれる。
「気にしないでいいって。そんなに情報がごろごろ転がってたら、俺たちだってもっと楽してるよ」
 うう……、本当に小説のようにはいかないものだ。
 千奈美さんに話を聞いたあと、仕事の合間を縫ってもう少しさぐってみた。