《青花》はうわ薬を掛ける前の素地に文様を描く技法のことである。

特に呉須(ごす)と呼ばれるコバルトを主成分とした絵の具を用いた染め付け磁器を指す。

祖父の 《青花》はその中でも最高級品であった。

白地に藍とも青とも表現できない鮮烈な色合いで1匹の麒麟が描かれていた。

瞳は凜として生き生きと描かれ、背中の体毛は艶やかに風になびき、4本の脚は鱗が輝くばかりに眩しく、前足の蹄を高々と掲げ、今にも磁器を飛び出して走り出しそうであった。