私の指摘に朋ちゃんも頷き、4時間目と給食のところにはさらに蛍光ペンでぐりぐりと丸が付けられた。

「この間に抜け出せる可能性がある人って、体育を見学していた山下さんと石川君。それに、給食に遅れた飯田君と先に戻った遠野君か」
「うん、そうだね」

 暫くノートを睨んでいた私達だけど、「これ以上はここで考えてもわからないね」と朋ちゃんは言った。

「うん。明日みんなに聞いてみることにしよう」と私も頷く。

 私と朋ちゃんはもう一度ノートの内容に間違いがないかを確認すると、その日の検証をお終いにした。

 UMA探偵団、初日の勤務は終了しました!

    ◇ ◇ ◇

 翌日、状況はもっと悪くなっていた。
 遠野君のことをクラスメイトの男子たちが無視していたのだ。唯一、遠野君と仲の良い飯田君は石川君と普通に接していた。

「遠野君、石川君。ちょっといいかな?」

 私と朋ちゃんが声を掛けると、二人は怪訝な表情を浮かべた。私は構わずに遠野君の席の前に屈みこみ、小声で遠野君に確認した。

「一昨日のバトマジカード事件、遠野君はやってないんだよね?」

 遠野君の眉間に、不機嫌そうに皺が寄る。

「やってないよ。あれは僕が別に買ったバトマジチョコスナックに入っていたんだ」

 遠野君は眉を寄せてそう言った。私と朋ちゃんはそれを聞いて大きく頷く。

「ねえ。じゃあ、私達と一緒に身の潔白を証明しない?」 

 遠野君はてっきり私達に責められると思っていたようで、この提案を聞いて目を真ん丸にして驚いていた。

「身の潔白? 僕のこと疑っているんじゃないの?」
「うーん。容疑者の一人ではあると思うけど、証拠もなしにこの仕打ちは酷いと思うの。だから、本当にやってないなら身の潔白を証明しようよ」

 遠野君は少し迷うように視線をさまよわせてから、「やる」と私の目をみて力強く答えた。

「じゃあね、まずこのノートを見て欲しいの」

 私は昨日朋ちゃんと付けたノートを遠野君と石川君に見せた。二人は私たちの力作ノートに目を瞠っている。

「草壁君のバトマジカードなんだけど、中休みにはあったでしょ? で、なくなったのがわかったのが昼休み。っていうことは、犯人は中休みから昼休みにかけて盗ったってことよ。この間のアリバイを証明したら身の潔白が証明されるわ」